大塚家具の「お家騒動」

2014年7月に大塚久美子社長が解職され、父親であり創業者でもある大塚勝久氏が社長に復帰したと思いきや、半年後には久美子氏が社長に復帰するという「お家騒動」が株式会社大塚家具で起きました。

背景に親子間での営業方針を巡る対立があり、社長に復帰した勝久氏が接客方法を旧来のものに戻したところ、営業成績が下がってしまったので、その責任を勝久氏がとったかたちと報じられています。
しかし、一旦復帰した創業者がたった半年で社長を辞職するというのは異例なことです。

通常でないことが起きた背景を公表されている有価証券報告書、大量保有報告書等から探ってみると次のことが分かりました。

① 勝久氏は同社の発行済み株式の18.04%しか保有していません。
② 久美子氏がコントロールしていると言われている株式会社ききょう企画が発行済み株式の9.75%を保有し、外資投資ファンド「ブランデス・インベストメント・パートナーズ・エル・ピー」が10.29%を保有しています。
③ 同社の取締役は8人いますが、うち3名は社外取締役であり、その3名のうち2名は久美子氏が社長であった時期に同社の取締役にはじめて就任しています。

業績悪化を盾に久美子氏が勝久氏と徹底的に戦った場合、上記株主構成及び取締役会構成からして容易には決着が付かないことになったと思われます。
闘争が長引けば、大塚家具の企業価値そのものが毀損されることになってしまったでしょう。
そこで、勝久氏が身を引くことになったのだと思われます。
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上場会社の経営者に求められる説明能力

コーポレートガナバンス・コードの策定に関する有識者会議において、同コードの原案が固まったようです。

「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)」

中身を読んでみますと、「説明」という言葉が繰り返し登場します。
しかも次の記述から分かるとおり、実質的な説明が求められています。

「我が国の上場会社による情報開示は、計表等については、様式・作成要領などが詳細に定められており比較可能性に優れている一方で、定性的な説明等のいわゆる非財務情報を巡っては、ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある。取締役会は、こうした情報を含め、開示・提供される情報が可能な限り利用者にとって有益な記載となるよう積極的に関与を行う必要がある。」

「取締役会は、ひな型的な記述や具体的を欠く記述を避け、利用者にとって付加価値の高い記載となるようにすべきである。」

全国株懇連合会が事業報告書等のモデルを公表してきたことからも分かるとおり、従来は、情報開示においてひな型に頼る傾向があったように思います。
しかし、ひな型的な記述を避けろとズバリ指摘されたことにより、企業経営者は説明能力を問われることになりそうです。

コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議

コーポレートガバナンス・コードを策定することを目指した有識者会議が設置され、すでに平成26年8月7日、同年9月4日、同月30日と3回の会議が開催されています。

会議の内容ですが、冨山和彦氏が大胆な主張を行っているのが目立っています。
同氏は株式会社経営共創基盤の代表取締役というだけでなく、経済同友会副代表幹事でもありますので、経済界代表ということになるのかもしれませんが、発言内容はかなり尖っています。
以下、第1回有識者会議における同氏の発言の一部を同会議議事録から引用します。

コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議(第1回)議事録

「過去20年から30年に係る日本企業の現実というのは、はっきり言って負けてきた現実なんですよね」

「ROEが低いというけど、これは実はROEが低いというよりは売上高利益率が低いんですよね、これは要は競争負けしているということなんですよ。実はあんまりレバレッジは関係ないんですね、日本のROEの低さというのは。ですから、別に資本政策で株主におもねったから負けているんじゃなくて、要は本業で負けているからこれは負けてきたわけです。」

「よく言われる売上高、長期的な成長と雇用を重視するから利益率が低いんだと言いわけをすぐ経営者はする、私も経営者なので自分で自分につばきしているんですけれども、あれははっきり言って大宗を読めってうそなんですよ、これ。」

「だって、30年にわたってこうなんだから。実際データを取っているとわかるんですけれども、30年間そうということは、もうはっきり言って、これは経営がだめなんですよ、日本の会社は。」

「今回のコーポレートガバナンスの射程として、私は、経営者自身にとって厳しければ厳しいほど内容としてはいいと思います。ですから、現状がこうだからということで、だめな現状に全然おもねる必要はない、合わせる必要はない。」

平成26年9月30日に開催された第3回会議の資料として提出された、同氏の意見書も読みごたえがあります。

コーポレートガバナンス・コードの策定に関する意見書(第3回有識者会議向け)

これについても一部を引用します。

「本コード策定の基本射程は、日本の上場企業の「稼ぐ力」(成長力、収益力)を長期的、持続的に高める条件整備にある。その意味で、粉飾決算等の不祥事防止に関わる「守りのガバナンス」だけでなく、「攻めのガバナンス」の強化こそが求められている。
そして「攻めのガバナンス」の要諦は、経営者が、変化を続ける経営環境の中で適時・的確なリスクを取り、社会や様々なステークホルダーの価値との調和を保ちつつ、社内外の抵抗を乗り越えて必要な変革を継続することで根源的な競争力を高め、長期的・持続的な企業価値の向上を行っているかどうかを、然るべき牽制力(例えば経営者の任免への関与)を持って厳しくモニタリングすることである。」

かなり突出した意見のように思えますが、こういう人がいると見ていて面白い議論になります。今後、どのように議論が深まっていくのか、見ものです。

社外役員等に関するガイドライン等

コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が取りまとめた二つの文書が公表されています。

社外役員を含む非業務執行役員の役割・サポート体制等に関する中間とりまとめ

社外役員等に関するガイドライン

ざっと目を通してみましたが、政府がこんなことまで手取り足取り指導するのかというのが正直な感想です。

改正会社法成立

平成25年11月29日に内閣が提出し、平成26年4月25日に
衆議院本会議で可決されていた「会社法の一部を改正する法律案」が
同年6月20日に参議院本会議で可決され、成立しました。

参議院本会議における投票結果が公表されています。
民主党、共産党、社民党は反対票を投じたのですね。
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