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精神病診断マニュアルの限界

精神病(専門的には精神障害)の診断マニュアルとして著名な
「精神障害の診断・統計マニュアル」(DSM)ですが、私のような門外漢には
極めて権威のあるものに見えていました。

ところが、現代思想5月号の特集「精神医療のリアル」―DSM-5時代の精神の<病>を
読むと限界のあるものであり、鵜呑みにしてはいけないもののようです。
以下、特集記事の一部を引用します。


「(何人かのイギリスの精神科臨床医)が言うところによれば、精神医学における
診断マニュアルはたんなる暫定的な領土地図、つまり、精神科医が実践において扱う
諸問題の見取り図にすぎない。
DSMのようなマニュアルは、飛行機の中であれば臨床医は〔それを〕読む気になるかも
しれないが、地上にいるとき、すなわち診療所においては、脇において置くのがふさわしい
暫定的な指針といったものである。実際にイギリスでは、多くの実践的な臨床医は
DSMによる分類を仕事において使用しない。彼らはDSMのチェックリストを用いて
個々の診断を行うこともしないし、自身の診断が絶対的であるとも考えない。」
(ニコラス・ローズ著・篠塚友香子+米田翼訳「何のための診断か」、現代思想2014年5月号
174ページ)

「(米国NIMH(National Intstitute of Mental Health)所長のトーマス・インゼル)は、
NIMHの管轄で行われる精神医学の研究においてはDSM-5を使用しない方針を決め、さらに最近では、
神経生物学的なメカニズムを解明することを目標としない臨床研究に対して研究資金の
提供を行わないことを決めたようである。」(松本卓也「DSMは何を排除したのか?ラカン派
精神分析と科学」、現代思想2014年5月号95~96ページ)


現代思想 2014年5月号 特集=精神医療のリアル DSM-5時代の精神の<病>現代思想 2014年5月号 特集=精神医療のリアル DSM-5時代の精神の<病>
(2014/04/28)
斎藤環、信田さよ子 他

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NHKスペシャル「ここまで来た!うつ病治療」

NHKスペシャルでうつ病の最先端治療方法を紹介していました。
脳科学によってうつ病の正体が分かり始めており、その成果に基づいた
治療方法の開発が進んでいるそうです。
ただ、見てみると、わりと単純な話でした。
うつ病になると脳の血行が悪くなって、様々な問題が生じる。
そこで、磁気や電気刺激によって脳の一部を刺激して脳の機能を
回復させる。
結局、やってることは肩こり治療なんかと同じ?

週刊ダイヤモンド2012年2月11日号

父が医師であることもあって、少し興味がある医師の世界、
週刊ダイヤモンドが特集を組んでいたので、読んでみました。
私が注目したのは、①56ページの医療訴訟の記事と
②64ページの医学部難度上昇の記事です。

まず、医療訴訟の原告勝訴率が、2000年の46.9%を
ピークに2010年の20.2%まで右肩下がりで低下しているという
実態に驚きました。
母数となる新受件数は増えていないため、原告勝訴判決の
絶対数が減少しているということになります。

判例タイムズ等の雑誌に掲載された判決を見ての印象に
すぎませんが、たしかに一時期、あまりにも高度な基準を設定して
過失を認めたり、どう見ても医師の行為と結果との間に因果関係が
ない事件について、説明義務違反を安易に認めて原告の請求の一部を
認める判決が横行していた記憶があります。
その傾向が是正されたのだとしたら、良いことだと思います。

ただ、一方で、では原告(患者側)が勝てなくなったのかというと、
そうでもないのではないかと考えています。
医療訴訟の先例が増え、判決の予想がつきやすくなったために、
明らかに医師に落ち度があるケースについては、訴訟に至る前に
和解で決着がつくケースが増えているように思うからです。
ですから、訴訟になった事件は、医師に落ち度があるかどうか判断が
評価する人により分かれる微妙なケースが多いのだと思います。
そういうケースですら原告が約2割勝っているのだとすると、けして
原告が勝てなくなったわけではないということなります。

次に医学部の難化です。
仕事上、様々な組織の内情を伺う機会があります。
待遇の低さに驚く場合もあれば、こんなに給料をもらっているのかと驚く場合も
あります。
私の経験上、やはり医師の待遇は、少なくとも金銭面では恵まれています。
銀行、マスコミ、会計士といったエリートと目されていた業界の待遇ですら
下がっている中、医師の待遇のみが昔のままという印象です。
ですから、医師という職業が相対的に人気になり、医学部が難化するのも
当然だと思います。
ただ、一方で、残念な気持ちもあります。

九州大学の中山敬一教授が次のリンク先で書いているとおり、
http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/qanda.html
臨床医は、クリエイターとルーティン・ワーカーのどちらかと言えば、
ルーティン・ワーカーです。
日本の宝とも言うべき、秀才たちがこぞって医学部に入学し、その大半が
臨床医になるというのは、国家的損失であるようにも思えます。
研究者が経済的にも成功する事例がもっとあれば、ここまで医学部が
人気になることはなかったのではないかと考えると、残念な気持ちも
わいてくるのです。


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大久保宏昭

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