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こんな義務があるのを知っていましたか?

平成23年10月1日に東京都暴力団排除条例が施行されました。
警視庁組織犯罪対策部総務課長が、ジュリスト3月号において、
条例の狙いを解説してくれています。
条例の狙いは、次の2つだそうです。

①暴力団への資金供給の遮断
②暴力団への人材供給の遮断

この狙いを実現するために、暴力団への利益供与を禁止するなど
一般市民も規制対象としているのが、本条例の特徴です。

どのような行為が暴力団への利益供与になるかは、警視庁が
Q&Aを作って説明してくれていますので、これを見るのが
良いと思います。利益供与を行った場合、公安委員会から
勧告を受ける等の不利益を受ける可能性がありますので、
注意しなければなりません。

また、条例は、事業者が事業に関して締結する契約が「暴力団の活動を助長し、
又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合」に、
契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努める旨を
定めています。
努力義務規定ですし、スーパーやコンビニで日用品を売買するなどについてまで、
相手方の確認をするよう求めるものではないとのことですが、
契約書を作るような取引を行う際、怪しいと思ったら警察に相談するなり
した方が良いということになります。

さらに、事業者が事業に関して書面により契約を締結する場合には、
いわゆる「暴力団排除条項」を契約書に定める努力義務も課せられました。
「暴力団排除条項」は、当該契約の関係者が暴力団関係者であることが
判明した場合には、催告することなく当該契約を解除することを定める
条項ですが、具体的文言については、このパンフレットなどが参考に
なります。

名前からして、自分は関係ないと思いがちな条例ですが、
実は関係があったという話でした。
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エルピーダ倒産の遠因

金融法務事情2012号2月25日号において、金融庁・証券
取引等監視委員会事務局次長の大森泰人氏が、経産省幹部逮捕の
内幕を書いています。
2012年1月12日に逮捕された木村雅昭氏の話です。

2009年6月18日の夜、当時経産省商務情報政策局の審議官であった
木村氏は、八重洲富士屋ホテルの一室に集まった、エルピーダの
主力取引銀行、日本政策投資銀行の幹部ら20人を前にして、
次のように宣言したそうです。

「(投融資額)がまとまるまで、この部屋からは出られません。
まとまらなければ、エルピーダはつぶれます」

経産省が主力取引銀行と日本政策投資銀行を説得してエルピーダを
救済した場面です。

大森氏の解説を読んでみます。
「民間銀行の担当者の胸中には、乗っているのが泥船なら、
痛手がさらに拡大する前に降りなきゃとの思いもある。」
(それに対し)「経産省が、何が何でもエルピーダを救済すると
決めていれば、DBJ(日本政策投資銀行)は最初のうち抵抗する
ものの、やがては諦め経産省とともに民間銀行を巻き込む側に立つ。」
経産省(木村氏)が、何が何でもエルピーダを救済すると主張したので、
日本政策投資銀行がそれに従い、経産省と日本政策投資銀行に
引き摺られて、主力取引銀行も融資を決めることになったということです。

ところが、その2009年6月に木村氏は経産省の庁舎の中で、
エルピーダの株式の売買取引を行っていました。
しかも、2009年6月18日までエルピーダ株を買い増し、
その後の株価上昇局面でタイミング良く売っていたというのです。
そのことが発覚し、木村氏は2012年1月12日に逮捕されました。

さて、復習ですが、今回、主力取引銀行と日本政策投資銀行の姿勢は
次のようなものだったと報道されています。

主力取引銀行:日本政策投資銀行が支援を継続するなら借り換えに応じる。
日本政策投資銀行:マイクロンと資本・業務提携できなければ3月末以降は支援しない。

そして、マイクロンとの提携が破談になったためにエルピーダは倒産した
わけです。

ところで、改めて報道を振り返ってみると、経産省の影が薄いことに気づかされます。
大森氏の解説からすると、経産省が強力に日本政策投資銀行に対してエルピーダ救済を
求めたとしたら、エルピーダの借り換えは実現できた可能性があることになります。
しかし、経産省はそうしなかった。
木村氏の件で負い目があり、そうできなかったのでしょう。

一旦はエルピーダを救ったとされた木村氏が、エルピーダを倒産に追いやった。
そう言えなくもなさそうです。

エルピーダメモリはなぜ倒産したか

今朝の日本経済新聞でかなり状況が見えてきました。
次のような構図になっていたようです。

主力取引銀行:日本政策投資銀行が支援を継続するなら借り換えに応じる。
日本政策投資銀行:マイクロンと資本・業務提携できなければ3月末以降は支援しない。

結局、借り換えが実現できるか否かは、マイクロンと提携できるか否かにかかっていたわけです。

ここから先は想像になります。
こういう場面におけるスポンサー候補の立場ですが、実は、
さっさと倒産してくれた方が安く買えるのになと考えていたりします。
上記事情をある程度把握していたマイクロンは現時点で
エルピーダと資本提携する場合と提携を拒絶して倒産後に
エルピーダを買収する場合とを比較していたはずです。
そして、倒産すれば他にもスポンサー候補が出てくる可能性は
あるが、それでも後者の方が有利と考えて提携を一旦拒絶したのだと
思われます。
あくまで、私の想像にすぎませんけどね。

エルピーダメモリのなぜ?

平成24年2月27日、日本DRAMメーカーの最後の砦と
言われたエルピーダメモリ株式会社が会社更生手続開始の
申立てを行いました。
NHKスペシャル「電子立国 日本の自叙伝」の
初回放送日は1991年1月27日ですから、日本が
勝利の凱歌をあげてからおよそ21年ののち、
この落城の日を迎えたわけです。

会社更生手続き開始の申立てを行ったということは、
同社の経営陣は、次のいずれかの事実があると判断した
ことになります(会社更生法17条1項)。
①破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合
②弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に
著しい支障をきたすおそれがある場合

「会社更生手続開始の申立てに関するお知らせ」をみてみましょう。
「当社がこのまま自力で事業継続した場合、その資金繰りが
早晩破綻することは必至な状況となりました。また、仮に現状を
放置して資金繰りの破綻が現実化した場合、当社の企業価値は
著しく毀損し、スポンサーによる資金提供等の途も事実上絶たれ、
債権者の皆様を始めとする関係各位に対してより多大なご迷惑を
お掛けすることが想定されました。そのため当社は、やむを得ず、
会社更生法の手続に従って抜本的な財務及び事業の再構築を
行うことによって会社再建を目指すこととし、本日申立てを
行うに至りました。」とあります。

ところが、株価の推移をみると、過去半年は比較的安定していて、
前日終値も332円でした。マーケットは現時点での倒産を
予測していなかったように見えます。

では、予兆はなかったのでしょうか。
EDINETで平成24年2月14日に提出された第3四半期報告書を
みてみましょう。
同報告書から以下の事実を読み取ることができます。

純資産額2828億円
平成22年12月31日付の現金及び現金同等物残高
1647億円
平成23年12月31日付けの現金及び現金同等物残高
974億円

純資産はまだ相当程度あるものの、キャッシュが急減していたことが
見て取れます。
さらに、同報告書の「継続企業の前提に関する事項」には、次のとおり
記載されています。

「当社は、平成21年6月30日に経済産業省の認定を受けた産業活力の
再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づく事業再構築計画
(以下、本計画)に沿って事業活動を遂行しており、本計画の実施期間は
平成24年3月31日に終了することが予定されています。
本計画の終了に伴い、㈱日本政策投資銀行に対して発行した
優先株式に対する金銭を対価とする取得請求権は、平成24年4月2日以降、
同行による行使が可能になります。また、本計画に基づく
主要取引銀行を中心とする金融機関からの借入も平成24年4月2日付で
その返済期限が到来します。上記の他、今後1年間に有利子負債の
返済も予定されており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる
ような状況が存在しております。
当該状況を解消すべく、当社は、取引先からの出資、顧客からの
出資あるいは前受金の受け入れ等種々の効果的かつ実行可能な施策について、
一部を実行あるいは関係者からの合意を得ることで財務体質の改善に
努めております。また、当社は、経済産業省、㈱日本政策投資銀行及び
主要取引銀行等の関係者と今後の対応策について詳細を
協議しているところですが、現時点では最終的な合意には至っておらず、
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。」

日本経済新聞は次のとおり報道しています。
「経済産業省や政投銀、主取引銀行は、3月末に期限の切れる産活法の
適用延長や融資の継続を認める前提として、抜本的な経営再建策の
提出をエルピーダに求めていた。一部の金融機関は提携の実現性を
含め再建への道筋が明確でないとして、支援継続に難色を示したようだ。」
つまり、第3四半期において開示された事実が原因でエルピーダは
倒産したわけです。
予兆はあったことになります。

では、なぜ、マーケットは上記開示に反応しなかったのでしょうか。
そのリスクは織り込み済みということも当然あったでしょう。
ですが、300円台を維持していたということは、やはり、
マーケットは経産省及び銀行が救済的融資を継続すると
読んでいたのだと思います。
ところが、経産省及び銀行は支援を打ち切りました。
マーケットの読みと経産省及び銀行の実際の判断は何故食い違ったか。
それがエルピーダ倒産における謎だと思われます。


P8031349

AIJの問題を、とりとめもなく、ぼんやりと考える

AIJ投資顧問株式会社(「AIJ」)が顧客から受託していた
資金の大半が、消失していたそうで、騒ぎになっています。
報道によれば、同社は運用成績を偽って勧誘を行っていたようです。
金融庁は、同社の登録を取り消すことを検討しているとのことで、
AIJは廃業に追い込まれる可能性が高いと見られています。
それだけではありません。
真相はいまだ明らかではありませんので、確実なことは言えませんが、
具体的な事情次第では、AIJは会社として、顧客に対し、
損害賠償責任を負う可能性がありますし、同社の取締役らも、
刑事上の責任及び民事上の責任を問われる可能性があります。

ただ、顧客からしてみれば、一番の関心事は、投資した資金を
回収することができるか否かでしょう。
その見込みは極めて乏しいと言わざるを得ません。
AIJ及びその取締役らが損害賠償責任を負ったとしても、
同社らに資産がなければ、結局、回収はできないからです。
空のサイフを逆さに振っても、お金は出てこないという道理です。

では、顧客はどうしたら良いのでしょうか。
今朝の日本経済新聞の記事に次のような記載がありました。

「千葉県管工事業厚生年金基金の今井昭常務理事は「金融当局の
監視の甘さが、こういう結果を招いた」と憤った。」

なるほど、国の責任を問うというのは、一つの方法です。
投資はあくまでも自己責任であるという考え方もありえますが、
個々の投資家の能力には限界があるのも事実です。
AIJの事業報告書を見ると、顧客のほとんどは年金です。
年金運用者に対して、投資運用を委託する際には、その運用の
詳細を自らの手で調査しろというのは、事実上不可能を要求することに
なりかねません。
そこで、監督官庁の監督責任を問うという発想が出てきます。
この点、投資運用業者は登録業者にすぎませんので、監督官庁の監督責任を問うことは
一般的には難しいといえます。
しかし、監督官庁には検査権限が与えられています。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の報道によれば、格付投資情報センターが
2009年に発行したニュースレターの中で、AIJについて
日本のマドフ事件になりかねないと警告していたそうです。
だとすれば、監督官庁が与えられた検査権限を適正に行使していなかったとして、
国に対して損害賠償を求める訴えを提起することは十分にありえそうです。
もちろん、裁判所が認めてくれるかどうかはわかりませんが、主張としては
一応の合理性があると思います。
その場合、薬害訴訟判決やじん肺訴訟判決を参照しつつ、訴状を作成することに
なるでしょう。
訴訟を業務の柱の一つとしている弁護士としては、訴状を書いてみたい気もします。
面白そうですので。

ただ、その一方で、こうも思います。
仮に国の責任が認められた場合、結局、税金で損失が補填されることになります。
広い意味では投資の失敗にすぎないとも言える事件に税金が投入されるのが
良いことと言い切る自信はありません。
また、国の責任が認められた場合、投資運用業に対する規制が強まることが予想されます。
すでに、民主党が「年金の運用管理に関するワーキングチーム」を
立ち上げ、投資顧問会社の監督強化などの提言をまとめる予定であると報道されています。
投資運用業に対する規制の強化は、結局、運用コストの上昇につながります。
また、投資家は規制を嫌いますので、投資運用業の規制強化は、投資資金の
海外逃避を促すことになりかねません。
日本経済に対するインパクトを考えると、あまりいいアイデアであるとは思えないということです。

悩ましいですね。

P2191461

ナマポ・ビジネス

日本経済新聞の「春秋」が、「ナマポ・ビジネス」と
呼ばれる貧困ビジネスを批判していました。
具体的例としてあげているのは、生活保護者を対象と
した賃貸アパートです。
筆者は次のように述べています。

「質素なつくりだが、家賃は驚くほど高い。弱者の
受け皿といえば聞こえはよいが、経営者にとり
受給者は、家賃の取りはぐれがない好都合なお客だという。
生活保護費は毎月必ず支給されるからだ。
これが「ナマポ・ビジネス」の実態である。
医療や介護でも、似た手口の奇妙な話を耳にする。
ずる賢い人間を、のさばらせてよいはずはない。」

私も大阪で生活保護者歓迎という垂れ幕の下がった
賃貸アパートを初めて見たときには、いやな気持に
なりました。生活保護費を吸い上げるビジネスなんて
どういう人がやっているのだろうと思いました。
でも、この問題は、そんなに単純な倫理観だけで
判断して良い問題なのでしょうか。

私の手元には、「How to 生活保護」という本があります。
生活保護の申請代行を認めるか認めないかで、厚生労働省と
弁護士会が戦っているようですが、誰かの申請を代行する
つもりで買った本ではありません。
弁護士というのは、自営業者なので、万一の場合、守ってくれる
組織があるわけではありません。
そこで、興味半分であることは事実ですが、万一の際に
命綱となるはずの制度を確認するために買ったのです。

生活保護を申請しなくてはならなくなったとき、
「ナマポ・ビジネス」がなかったとしたら、どうなるのでしょうか。
それは、生活保護者が、なぜ割高な「ナマポ・ビジネス」物件に
入居するかを想像してみれば、すぐに分かることだと思います。
普通の民間の賃貸アパートには入居できません。
都営住宅は抽選に当たらなければ入居できません。
行き場所がないのです。
割高だとしても、「ナマポ・ビジネス」物件があるからこそ、
生活していけるとも言えます。
そう考えると、「ナマポ・ビジネス」を批判するだけでは
足りないことが分かります。

ところで、話は変わりますが、弁護士って、「ナマポ・ビジネス」を
やろうと思えば、やれる立場にいますよね。。。。
生活保護申請代行を手始めに(ごにょごにょ
弁護士も貧困化してきていますから、そのうちに「ナマポ・ビジネス」を
手がける弁護士も現れてきてしまうのではないでしょうか。。。。


How to 生活保護―申請・利用の徹底ガイド 雇用不安対応版

クラウドコンピューティング

本日の日経新聞朝刊にクラウドコンピューティングに関する
記事が掲載されていました。
文化庁が、クラウドコンピューティングにつき、著作権法改正は
必要ないとする報告書をまとめたと記事は伝えています。
その記事の最後を引用します。

「報告書はクラウド型サービスが始まったことで、新たな著作権法上の
問題が発生していることはないとの見解も示している。
政府として、クラウド型サービスについては当事者間の契約で
解決すべきだとの方向性を示した格好だ。」

私には、この文章の前半と後半のつながりが、良く分かりませんでした。
新たな著作権法上の問題が発生していなくとも、クラウドコンピューティングの
発展のために法を整備するということは十分ありえると思うからです。
そこで、報告書の原文と思われるものにあたってみました。
報告書は、「まとめ」において、次のように述べています。

「「クラウドサービス」と著作権法との関係については、大きく
①著作物の利用行為主体との関係、②「私的使用」(30条1項)との関係、
③著作権法上の「公衆」概念との関係を中心に検討したところであるが、
いずれの課題も従来から指摘されている課題であり、
「クラウドサービス」がこうした課題をより顕在化させるという側面があるとしても、
「クラウドサービス」固有の課題というものではないことが確認された。
このため、「クラウドサービス」の進展を理由に、直ちに「クラウドサービス」
固有の問題として著作権法の改正が必要であるとは認められないものと考える。
もっとも、「クラウドサービス」の進展に伴って、著作物の利用が
さらに多様化していくことが想定され、また、「クラウドサービス」が
より広範に利用されることが想定される中、従来から指摘されている
課題であったとしても、その影響や規模が拡大することも考えられるため、
それらの課題について検討を進めることは必要であり、
現に文化審議会著作権分科会法制問題小委員会において、
30条を中心に課題の整理が行われているところである。
また、「クラウドサービス」に係る課題は、著作権法との関係以外にも
多岐にわたっており、我が国において「クラウドサービス」が発展する上においては、
こうした課題についても真摯に向き合って検討することが求められよう。」

また、「まとめ」の直前を読むと、関係者ヒアリングにおいて、次のような意見が
あったとしています。

「「クラウドサービス」に関連して著作権法の改正を行う必要性は特段認められず、
クラウド事業者と権利者との契約で対応すべき問題であり、
また、契約が締結できないからといって、そのことを理由に法改正を
行うべきではないとの意見があった。
さらに、この点に関連して、全ての行為について、違法な行為とそうでない行為を
法律で明確にすることはそもそも困難であるとの意見もあった。」

当該意見は、報告書の立場とは違うということでしょう。

以上、報告書を確認しましたが、素直に報告書を読むと、
「政府として、クラウド型サービスについては当事者間の契約で
解決すべきだとの方向性を示した」とまでは読めないように思います。
口頭でそういう趣旨の説明があったのでしょうか?

CODE

相変わらず勢いありますね。
何がって、Googleですよ、Google。
帰り道にコンビニでDIMEという雑誌を買ってきました。
先日Androidを搭載したスマートフォンを買ったばかりなので、
「まるごと1冊グーグル大特集」という表紙の文字に惹かれたのです。

読んでみて、知らぬ間に様々な技術開発が進められていることに、
驚きました。
たとえば、「郵便番号 (住所)」と検索窓に打ち込むだけで
郵便番号が検索結果として出てきます。
話題のGoogle+も面白そうです。
それにブラウザのChrome。
私はずっとIEしか使ってきていないのですが、使ってみたくなりました。

Googleの技術は、すでに利用者個人個人に合わせて、その人のために
最適化された情報を提供してくれるまでに進歩してきているようです。
Googleのサービスは、仕事や生活における様々な場面で、力強い助けになるはずです。
ただ、若干気になることもあります。
ローレンス・レッシグ教授は、「CODE VERSION 2.0」で、現代において個人を
制約するものは、①法、②規範、③市場、④アーキテクチャーの4つである
と主張しています。
現在のGoogleは、単なる検索サービス提供業者ではありません。
たとえ主たる収入源が広告料金であったとしても、広告会社でもありません。
Googleは、ネット空間のアーキテクチャーを作り出している会社です。
全面的にGoogleのサービスに依存するということは、ネット空間において、
私が何をすることができ、何をすることができないかを決める権限を
Googleに与えるということです。
そう考えると、どうしても躊躇いの気持ちが出てきてしまうんですよね。

まあ、でも、便利そうだから、使ってみようかな。。。。


CODE VERSION 2.0

authorship

論文の著者たることをauthorshipと呼ぶそうです。
研究者にとっては、論文の共著者となるかならないか、
また、何番目に名前が記載されるかが、その後の人生を
左右することもあるので、authorshipの問題は、
極めて重要な問題です。
そこで、たとえば、このような基準が設けられていたりします。

ところで、論文作成に貢献したにもかかわらず、共著者として
名前を記載してもらえなかった場合、司法的救済を受ける
ことはできるのでしょうか。
もちろん、当該論文の「著作者」(著作権法2条1項2号)に当たる
場合には、氏名表示権(同法19条)を有しますから、司法的救済を
受けることができます。
しかし、著作権法上の「著作者」とは、「著作物」を創作するものを
いい、「著作物」とは一定の要件を具備した「表現」をいいますから、
「表現」への関与がない者は、「著作者」には当たりません。
アイデアを提供しただけのもの、指示や助言をしたり、ヒントや
テーマを与えたり、資料を提供しただけの者、指示通りに手伝いを
行っただけの者等は、「著作者」には当たらないのです。
ですから、研究者間の常識では、当該論文の共著者になって
しかるべき者であっても、著作権法上の「著作者」には当たらず、
氏名表示権を有しないということが、ありえます。
このような場合、司法的救済を求めることは不可能なのでしょうか。

この問題に関する判決が、判例タイムズ1361号に掲載
されていました(東京地方裁判所平成23年4月13日判決)。

東京地裁は次のように述べています。

「学者が、真理の探究を目指し、学者としての良心の命ずる
ところに従って、全人格的価値を投入して全力を尽くして
研究を行った場合、その研究の成果は、学者のいわば分身
ともいうべき人格的価値に準ずる性質を持つと解される。
したがって、学者が行った研究の価値を損ない、又は
その研究を行うに当たって学者が果たした役割を否定する
ような他者の行為は、その態様や程度に照らし、社会通念上
許される限度を超える場合には、当該行為は、学者の
人格的価値ないし利益を侵害するものとして不法行為に
該当するというべきである。」

どうやら場合によっては、損害賠償を請求することができる
可能性があるようです。

窪田充見「家族法」

「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」という
言葉で有名なハプスブルク家は、婚姻により所領を増やし、神聖ローマ帝国
皇帝位を獲得して、それを維持しました。
当時、財産を獲得する主要な方法は、戦争、婚姻及び相続と言われていたのです。
ですから、その頃、親族・相続法は極めて重要な法律と考えられていたようです。

現代では、親族・相続法は、その頃ほど重要視されているわけではありません。
しかし、誰にとっても身近な法律であり、かつ、一旦紛争が起きると
深刻な争いになるという点で、重要な法律であり続けています。
弁護士を名乗る以上、親族・相続法を知らないとは言えません。
そこで、私も常に机の横の棚に1冊親族・相続法の概説書を置いています。
しっかりと調べるときには、当然、注釈書や判例検索システムを使用するのですが、
ちょっと制度の概要を確認したいときには、判例付六法と概説書を見るのが
便利だからです。

具体的にどの本を置いているかですが、今までは内田貴「民法Ⅳ 親族・相続」を
置いていました。
私にとって極めて読みやすい本だったからです。
ただ、この本はすでに8年近く改訂がなされていません。
最新のトピックや判例が載っていないのです。
そこで、そろそろ代わりの本が欲しいなと思っていたところ、目に付いたのが
この本です。
窪田教授の「不法行為法」は以前読んでおり、非常に読みやすいという印象が
ありましたので、買ってみました。

読んでみると、やはり分かりやすい。
かなり記載が省略されている分野もあり、網羅性には欠けます。
しかし、分かりやすいだけでなく、最新のトピックがふんだんに盛り込まれている
という長所もあります。
仕事で使うかどうかはともかく、読んでよかったと思える本でした。


家族法 --民法を学ぶ

縁故採用

先ほど送られてきた商事法務メールマガジンで知りましたが、
先日話題になった岩波書店の募集採用方法について、
厚生労働省から、こんな発表がされていました。

どういう話だったのか、振り返ってみます。
岩波書店は、2013年度の定期採用で、応募資格の条件として、
「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と
ウェブサイトで告知しました。
そして、そのことが、「縁故採用宣言」と受け止められて話題になりました。
ただ、岩波書店は純然たる民間企業です。
民間企業は、営利目的の組織であって、その目的達成のために
誰を従業員として採用するかは、当該企業の自由です。
もちろん、人種、性別等の不合理な理由に基づいて差別することは
許されませんが、縁故採用はそのような差別には当らないと
考えられます。
岩波書店は、従業員200名資本金9000万円の株式会社にすぎません。
この程度の規模の会社であれば、縁故で従業員を採用することは、
ごくありふれたことだと思います。
ここから先は私の想像ですが、たぶん、たった数名を採用するだけなのに
何千人もの応募者が殺到してきてしまって、日常業務に支障をきたす
ほどになっていたのだと思います。
ですから、こういう形で応募数を絞ろうとしたのでしょう。
これのどこに違法性があるのでしょうか。

新聞報道によれば、小宮山厚生労働大臣も違法性はないと認識しているようです。
なのに、こういう形でさらし者にされ(これってそうですよね?)、
国家機関に「今後も、同社の対応が公正採用選考の趣旨に沿ったものと
なっているかについて、しっかり注視していきます。」と言われてしまうと
いうのは何なんでしょうか。
これって、国家機関が、私人に対し、法的根拠なく、一種の社会的制裁を
課しているように見えるのですが。


自由論 (光文社古典新訳文庫)

光市母子殺害事件判決の反対意見

光市母子殺害事件に関する最高裁判決が裁判所ウェブサイトに
アップロードされています。
報道されているとおり、宮川裁判官の反対意見が付されています。
宮川裁判官は、次のとおり述べています。

「被告人の精神的成熟度が相当程度低いということが認定できるので
あれば、本件犯行の犯情(計画性、故意の成立時期等)及び犯行後の
行動に関わる情状についての理解も変わってくる可能性がある。
本件は、被告人の人格形成や精神の発達に何がどのように影響を
与えたのか、犯行時の精神的成熟度のレベルはどのようなものであったか
について、少年調査記録、B鑑定及びC鑑定を的確に評価し、
さらには必要に応じて専門的智識を得る等の審理を尽くし、
再度、量刑事情を検討して量刑判断を行う必要がある。
したがって、原判決は破棄しなければ著しく正義に反するものと
認められ、本件を原裁判所に差し戻すことを相当とする。」

これに対し、金築裁判官は、補足意見において、次のとおり反論しています。

「人の精神的能力、作用は極めて多方面にわたり、それぞれの発達度は
個人個人で偏りがさけられないものであるのに、果たして、そのような
判断を可能にする客観的基準や信頼し得る調査の方法があるのであろうか。
少年法51条1項が死刑適用の可否につき定めるところは18歳未満か
以上かという形式的基準であり、精神的成熟度及び可塑性の要件を
定めていない(中略)精神的成熟度は、いわゆる犯情と一般情状とを
総合して量刑判断を行う際の、一般的情状に属する要素として位置づけられる
べきものであり、そのような観点から量刑に関する審理・判断を行った
原審に、審理不尽の違法があるとすることはできないと考える。」

宮川裁判官は、精神的成熟度が低いのであれば死刑に処するべきではない
(だから差し戻して精神的成熟度の程度を調べさせるべき)
と考えているのに対して、金築裁判官は、精神的成熟度なる
よく分からないものを死刑適用の有無の決め手にすべきではない
(だから差し戻しの必要はない)と考えているようです。

ここから先は私の感想です。

刑事責任というものの根源を考えると、宮川裁判官の考えは分からなくはありません。
しかし、精神的成熟度のような実質的評価基準を持ち出して、
人の内面に踏み込んでいくと、すぐに「自由意思」、「自由な主体」、「責任」という
ものは、ある意味フィクションにすぎないという哲学的問題に突き当たってしまいます。
また、2010年の矯正統計によれば、犯罪者の大半のIQは100以下であり、
知的障害者とされるIQ69以下の者も約23%います。
精神的成熟度のようなものを持ち出すと、こういう人たちの責任をどう考えるのかという
話に飛び火しかねません。
刑事法の根底が揺らいでしまうわけです。
ですから、精神的成熟度のようなものを死刑適用の有無の基準とすべきではないという
金築裁判官の意見は、司法の運用者の考えとしては良く理解できます。

刑事系の話というのは、突き詰めて考えるとすぐに難しい話になってしまいますね。


責任という虚構

著作権法改正案

文化庁の作業部会が、著作権の「間接侵害」の差し止め対象を
明確にする改正案をまとめた、との記事を今朝の日本経済新聞で
見かけました。
文化庁が検討している案は、間接侵害も差止請求の対象とすると
明記したうえで、その範囲を限定するものだそうです。
書籍電子化の代行(いわゆる「自炊代行」)の是非について
若干興味があり、その点はどう考えられているのかと思い、
確認してみました。
その改正案というのは、多分、これのことですね。

この案について、自炊代行が合法化されることになった
と評価している書き込みをネットで見かけました。
しかし、それは少し早すぎる判断だと思います。
このまま著作権法が改正されても、代行の具体的態様によっては、
直接侵害とされて、差止請求の対象となり得ると思います。
また、そもそもこの案は、差し止め請求権の対象を明確化する
ものでしかありません。
損害賠償請求がどうなるかまでは、わからないということです。

木庭顕「ローマ法案内」

この本を買ったのは、著者が学士院賞を受賞したという
ニュースを昨年聞いたときですから、買ってから1年近く
読まずに放置していたことになります。

故我妻栄博士の「民法案内」を意識したと思われるタイトルを
つけているのですから、著者としては、入門篇のつもりなのだと思います。
たしかに「デモクラシーの古典的基礎」、「法存立の歴史的基盤」に
比べれば、何とか読める本ではあります。
しかし、それでも、いきなり「(特に言語的)記号はsignifiantと
signifieから成り立つが,前者を一致させるだけでは合意は
成り立たない.」といった表現が用いられたりしていることから
想像できるとおり、読むのに苦労する本です。

読んでみての感想ですが、所有権という概念が、万古不易の概念ではなく、
歴史的に生成された概念であることを確認できたのが収穫でした。

さて、昨年末に買った「現代日本法へのカタバシス」を読むのは、
いつになることやら。。。。。


ローマ法案内―現代の法律家のために

散歩@西新宿

何もすることがないので、久しぶりに西新宿に行ってきました。
都庁ビルに登ったのは10年ぶりくらいでしょうか。
あちこち写真を撮りながら、ロンドンの例のビルに似ていると
うわさのビルに行ってみると、書店(ブックファースト)がありました。
読みかけの本が10冊くらいあるのに、そこでまたもや5冊ほど本を買い、
タリーズの無料券をもらったので、コーヒーを飲みつつ、
買ったばかりの本を1冊読みました。
「楽しいみんなの写真」という、撮影した写真をflickrにどんどん
アップロードすることを勧めている本です。
さっそく実践してみます。


P2191469


楽しいみんなの写真 -とにかく撮る、flickrで見る。ソーシャルメディア時代の写真の撮り方・楽しみ方

木山泰嗣「センスのよい法律文章の書き方」

子供の頃は理数系が得意で、国語、社会といった科目は、かなり苦手でした。
そんな私が、文章を書かなければならない仕事に就いてしまいましたので、
文章の書き方をテーマにした本を今まで何冊も読んできました。
苦手なりの努力です。
そんなわけで、タイトルに挙げた本の「読みやすい「準備書面」を書く
アイデアとヒント」と書かれた帯を見かけて、すぐに買ってきました。

内容のほとんどは、私自身意識してきたことでした。
目指す方向は間違っていなかったと一安心。
ただ、風呂に入りながらあっという間に読み終えることが
できたことからすると、著者の文章はたしかに読みやすい。
私も精進しないと。

余談ですが、「優秀な頭脳をもっている裁判官といえども、
「過失による読み飛ばし」はすると思ったほうがよいです。それを前提に
文章を書くことが重要です。」(本書90頁3~5行目)という記載は、
情報理論がいう、ノイズのある伝送路における情報伝達には、
冗長性が必要ということですね。


センスのよい法律文章の書き方

重村智計「金正恩-謎だらけの指導者」

重村智計氏の新著を読みました。
朝鮮人民民主主義共和国に関する本です。
同国は、日本の隣国ではありますが、人口は日本の約5分の1、
GDPは購買力平価でみても約100分の1ですから、
経済的には無視していい国です。
また、軍事的にも日本海という海によって隔たれているため、
我々一般国民が心配しなければならないような存在ではありません。
ただ、インテリジェンスという面からみると、なかなか興味深い存在です。
同国自身が発信している情報が信用できないだけでなく、
その隣国である大韓民国もまた情報操作を行っているため、
何が本当の情報であるか、まったく分からなくなっているからです。
(詳しくは書けませんが、私も大韓民国情報機関の活動の一旦を
垣間見たことがあります。)
本書は、改めて朝鮮人民民主主義共和国の謎の多さ、謎の深さを教えてくれます。


金正恩-謎だらけの指導者 (ベスト新書)

スーパーコンピューターで抗がん剤開発

数日前のニュースになりますが、中外製薬等が、スーパーコンピューター
「京」を使った抗がん剤開発を始めるそうです。
がん細胞が出すたんぱく質と候補物質の結合を模擬実験して、
結びつきやすい物質を探すことにスーパーコンピューターを
使用するようです。
現在ではたんぱく質の立体構造が判明してきているので、
このようなことも可能になってきたのでしょう。

余談ですが、たんぱく質構造百科事典を見るとここまで
たんぱく質についても分かってきたのかと驚きます。

三菱商事シェールガス田開発に参画

三菱商事が、カナダの会社と共同でシェールガスと呼ばれるタイプの
天然ガス田開発を行うことになったと、日本経済新聞が報道しています。

エネルギー密度、経済合理性を考えると、原子力の代替となりえる発電方法は、
ガスタービンしかないのが現実のようです。
そこで、総合商社がガス開発に力を注力し始めたということなのでしょう。
さすがです。
一時期あたかも太陽光発電や風力発電が原子力発電の代替と
なりえるかのような主張を良く目にしました。
しかし、それらは採算を考えない人々の無責任な主張にすぎなかったと思います。

知財高裁判決続報

知財高裁平成24年2月14日判決の全文が、裁判所のウェブサイトに
アップロードされました。
本判決の重要部分は、次の箇所です。

「ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための
環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの
出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の
管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の
利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを
知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに
至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの
削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの
運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と
損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。」

これは、商標権者にとっては物凄く有用な判決ですね。
いわゆるインターネット・ショッピングモールで商標権侵害を行っている業者を
見つけたら、そのウェブページの運営者に証拠を示して警告すれば、
合理的期間内にウェブページから削除してもらえるようになるでしょうから。
(運営者が何か反論しようとしてきたら、この判決を示せばいいでしょう。)

なお、判決の次の箇所も理論的には重要だと思います。

「商標法は,その第37条で侵害とみなす行為を法定しているが,
商標権は「指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利
を専有する」権利であり(同法25条),商標権者は「自己の商標権・・
・を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は
予防を請求することができる」(同法36条1項)のであるから,侵害者
が商標法2条3項に規定する「使用」をしている場合に限らず,社会的・
経済的な観点から行為の主体を検討することも可能というべきであり,商
標法が,間接侵害に関する上記明文規定(同法37条)を置いているから
といって,商標権侵害となるのは上記明文規定に該当する場合に限られる
とまで解する必要はないというべきである。」

大阪市長vs市労連

毎日新聞が、「大阪市の橋下徹市長が職員労働組合に
今年度末での市庁舎からの事務所退去を求めている問題で、
市労働組合連合会(市労連)は来年度の使用許可を
求めて市を提訴することを決めた。」と報じています。

ところで、市庁舎は、地方自治法上の行政財産であり、原則として
これを貸し付けることはできないとされております。
そこで、従来は、目的外使用の許可(地方自治法第238条の4
第7項)を得て、市労連は市庁舎に事務所を構えていたのだと
思われます。

目的外使用許可に基づく使用には、借地借家法の適用はないと
されていますから(同条第8項)、訴えを起こす場合には、
使用不許可の違法性を主張するほかないでしょう。
行政財産の使用不許可については、最高裁判例(平成18年2月7日
最高裁第三小法廷判決)が存在します。
事案は、教職員によって組織された職員団体が、市立中学校の
学校施設の使用を申し出たところ、市教育委員会が、
右翼団体による妨害活動により、当該中学校及びその周辺の
学校や地域に混乱を招き、児童生徒に教育上悪影響を与え、
学校教育に支障を来すことが予想されるとの理由で不許可処分をした
というものです。
この事案につき、最高裁は、学校施設は地方自治法上の行政財産であると
認定した上で、次のとおり、判示しました。

「学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、
管理者の裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。
すなわち、学校教育上の支障があれば使用を許可することができない
ことは明らかであるが、そのような支障がないからといって当然に
許可しなくてはならないものではなく、行政財産である学校施設の
目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した
合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。
学校教育上の支障とは、物理的支障に限らず、教育的配慮の
観点から、児童、生徒に対し精神的悪影響を与え、学校の
教育方針にもとることとなる場合も含まれ、現在の具体的な支障
だけでなく、将来における教育上の支障が生ずるおそれが明白に
認められる場合も含まれる。また、管理者の裁量判断は、
許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、
使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした
場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設の確保の困難性など
許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の
諸般の事情を総合考慮してなされるものであり、その裁量権の行使が
逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が
裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の
選択や判断過程に合理性が欠くところがないかを検討し、その判断が、
重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を
欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として
違法となるとすべきものと解するのが相当である。」

毎日新聞の報道によれば、大阪市は「新たな行政事務スペースが必要」
であることを退去通告の理由としているようです。
大阪市長が使用を不許可とする場合の理由も同じ理由となると思われます。
大阪市長が、市庁舎につき「新たな行政事務スペースが必要」であることを
立証することは比較的簡単だと思われます。
新たなプロジェクトに携わるタスクフォースのための会議室が必要だとでも
しておけば足りるでしょう。
上記判例を前提とすると、市労連が、使用不許可につき、裁量権の
逸脱又は濫用を裁判所に認めさせるのはかなり難しそうです。
不許可の真の理由が他にあり、その理由が極めて不当であること、
市労連は当該スペースを継続的に利用してきており、移転することは
市労連の活動の重大な制約となること等を主張すると思われますが、
それだけでは足りないのではないでしょうか。
どういう闘いを展開するつもりなのか、興味がわきます。


知財高裁判決

まだ裁判所のウェブサイトには、判決文がアップロードされておりません。
報道による情報であるとお断りした上で、平成24年2月14日に知財高裁で
言い渡された判決について書きたいと思います。

商標を無断使用したグッズがネット販売された場合に、取引の場を提供した
ネットモールの運営元が商標権侵害の賠償責任を負うか否かが問題となった事件に
関する判決です。
裁判所は、判決において、商標権侵害は犯罪行為であって、ネットモール運営元が
侵害を容認すれば、ほう助に当たる可能性もあり、商標権侵害の指摘を受けた場合、
運営元は速やかに調査すべきだとした上で、運営元が、それを怠り、
侵害を知ってから合理的期間内にそのページを削除しない場合は、
運営元も出品者と同様の責任を負うと述べたそうです。

今回の事件では、商標権者の指摘から8日以内に問題のページが
削除されていたため、結論としては、ネットモール運営元の賠償責任が
否定されたそうですが、今後のネットモールの運営指針になる判決だと思われます。

31年ぶりの貿易赤字

週刊エコノミストが「不都合な経常赤字」という特集を組み、
この貿易赤字は一過性のものではなく、構造的なものであって、
将来は経常赤字になる可能性があると指摘しています。
経常赤字になるかどうかはともかく、一過性のものではないという点は、
私も同意見です。
「1980年以来の貿易赤字」というニュースを聞き、私は次のことを考えました。

①来るべきものがとうとう来た。
②市場メカニズムが働いた。
③無理は続かない。

円高が輸出不振の原因であるかのように語られることが多いのですが、
そもそもその輸出が円高の原因の一つになっているということを
認識すべきだと思います。

為替相場は、水野貴之「時系列の因果性を判定する」青木正直他監修
「50のキーワードで読み解く経済学教室-社会経済物理学とは何か-」198頁によれば、
数十分よりも短い時間では、過去に動いた方向とは逆方向に動きやすい性質をもち、
数十分よりも長い時間では、上がるか下がるかわからないランダム・ウォークの性質を
持っています。
為替相場については、投機筋の思惑が語られることが多いのですが、投機の動きは
ランダム・ウォークにすぎず、円高方向にも円安方向にも働かないわけです。
では、長期的にみて為替相場のトレンドを作り出すものは何かといえば、
佐藤彰洋「外国為替相場のメカニズム」前掲書313頁のとおり、通貨の需給です。
そして、通貨の需給を作り出す要因は、佐々木融氏が「弱い日本の強い円」で
述べているとおり、貿易、証券投資、直接投資です。
簡単にいうと、経常黒字は円高をもたらすし、経常赤字は円安をもたらすということです。
そこで、経常収支の統計をみると、2000年以降、巨額の経常黒字が続いてきたことが
わかります。
円高傾向が続いてきたことは当然なのです。

円高が続いた場合、時間を考慮しなければ、輸出が減り、輸入が増えて
今度は円安傾向になってバランスが取れるはずです。
しかし、人間の行動の多くは習慣的なものです。
価格が高くなったからといって、すぐに行動を変えることはしません。
また、人間は現状を維持しようと必死になる傾向があります。
ですから、円高が続いても、外国人は日本製品を買い続け、日本企業はコストダウン等の
必死の企業努力を続け、そのために貿易収支の黒字が続いてきたのだと思われます。
ところが、必死の努力で輸出を続ければ続けるほど、円高傾向は続き、輸出がより難しくなります。
そして、円高が続けば、いつかは習慣も変わり、努力の限界も来て、市場メカニズムの示す
結末へとたどり着くことになります。
貿易収支が赤字となったのは、そのためだと考えられます。

今後ですが、今度は貿易赤字に至った動きの慣性が相当程度持続すると思われます。
しかも、貿易赤字となっても経常収支はまだ黒字です。
経済界では海外移転プロジェクトが目白押しですし、海外製品を日常的に
買うようになった消費者の行動も止まらないでしょう。
もはや韓国や台湾の製品を粗悪品と考える消費者はほとんどいません。
ですから、経常赤字になるかどうかはともかく貿易赤字は一過性のものではないと
考えられるわけです。


50のキーワードで読み解く 経済学教室

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)

刑事訴訟における控訴審

平成24年2月14日最高裁判所第1小法廷判決が、刑事訴訟における
控訴審のあり方について次のとおり、述べています。

「刑訴法は控訴審の性格を原則として事後審としており、
控訴審は、第1審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく、
当事者の訴訟活動を基礎として形成された第1審判決を対象とし、
これに事後的な審査を加えるべきものである。第1審において、
直接主義・口頭主義の原則が採られ、争点に関する証人を直接
調べ、その際の証言態度等も踏まえて供述の信用性が判断され、
それらを総合して事実認定が行われることが予定されている
ことに鑑みると、控訴審における事実誤認の審査は、第1審判決が
行った証拠の信用性評価や証拠の総合判断が論理則、経験則等に
照らして不合理といえるかという観点から行うべきものであって、
刑訴法382条の事実誤認とは、第1審判決の事実認定が論理則、
経験則等に照らして不合理であることをいうものと解するのが
相当である。したがって、控訴審が第1審判決に事実誤認があるという
ためには、第1審判決の事実認定が論利則、経験則等に照らして
不合理であることを具体的に示すことが必要であるというべきである。
このことは、裁判員制度の導入を契機として、第1審において
直接主義・口頭主義が徹底された状況においては、より強く妥当する。」

この抽象論自体は、従来の考え方から変わっておりません。
ただ、判決から具体的事情を読みとる限り、本件は、従来の刑事訴訟実務であれば
有罪が認められた可能性が極めて高い事案だと思います。
有罪を認めた控訴審判決の方が、従来の実務からすると常識的判断だった
わけです。
そこをあえて、次のように判断したという点に本判決の重みがあると
考えます。

「原判決は、間接事実が被告人の違法薬物の認識を推認するに足りず、
被告人の弁解が排斥できないとして被告人を無罪とした第1審判決について、
論理則、経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは
評価することができない。そうすると、第1審判決に事実誤認があるとした
原判決には刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり、この違法が
判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ
著しく正義に反するものと認められる。」

刑事訴訟においては、第1審の重要性がさらに高まったと言えると思います。

カラオケ法理

「ロクラクⅡ」事件に関する差戻控訴審判決が、
平成24年1月31日に言い渡され、予想どおり、
知財高裁は著作権法違反を認めました。

「ロクラクⅡ」というのは、ようするに遠隔地に置かれた
録画再生機をインターネット経由で操作できるようにして、
遠隔地で放映されているテレビ放送を視聴可能にする
サービスです。
海外在住の日本人が、国内のテレビ番組を視聴できるため、
人気があったようです。

このサービスについて、著作権侵害に当るとして、放送局が
サービス提供者に対し、行為の差し止め等を求める
訴えを提起したところ、第一審判決はサービス提供者の
著作権侵害を認め、控訴審判決はこれを否定し、最高裁判決は
控訴審判決を破棄差し戻しました。

控訴審判決は、複製の主体はサービス利用者であって、
サービス提供者ではないから、サービス提供者は著作権を
侵害していないと判断したようです。
それに対して、最高裁は次のように判示しました。

「放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて、
サービスを提供する者(サービス提供者)が、その管理、支配下において、
テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器(複製機器)に
入力していて、当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の
複製が自動的に行われる場合には、その録画の指示を当該サービスの
利用者がするものであっても、サービス提供者はその複製の主体であると
解するのが相当である。」

今回の知財高裁の判断は、この最高裁の判断に従って、サービス提供者が
複製の主体であると認定したもので、予想通りのものです。
サービス提供者を行為主体であると判断する手法は、カラオケ法理と呼ばれることがあります。
カラオケを設置している店舗について店舗営業者が著作物の利用主体であるとして、
損害賠償請求を認めた最高裁昭和63年3月15日判決が先例であると
考えられているからです。
利用者が録画ボタンを押して録画するのに、サービス提供者が複製の主体であるというのは、
一般常識からは若干離れているかもしれません。
しかし、カラオケ法理を前提とすると、差戻前の控訴審判決の方が意外な判断だったと
言えると思います。

NHKスペシャル「ここまで来た!うつ病治療」

NHKスペシャルでうつ病の最先端治療方法を紹介していました。
脳科学によってうつ病の正体が分かり始めており、その成果に基づいた
治療方法の開発が進んでいるそうです。
ただ、見てみると、わりと単純な話でした。
うつ病になると脳の血行が悪くなって、様々な問題が生じる。
そこで、磁気や電気刺激によって脳の一部を刺激して脳の機能を
回復させる。
結局、やってることは肩こり治療なんかと同じ?

真の問題点

2月11日付日本経済新聞朝刊のコラム「大機小機」を読んでの感想です。
日本の財政危機を巡って、国債の暴落は近い将来起こるという説と
財政破綻の心配は当面無用だという説があるそうです。
日本の財政危機は杞憂ではないと判断して野田首相は増税が必要と
判断したのであろうし、その判断は理解できると続けられています。

最近、こういう議論が目に付くのですが、真の問題点が国民に
示されていないようにも思います。
日本の個人金融資産は約1400兆円と言われています。
しかし、国債、借入金、政府短期証券、政府保証債務等の残高合計は
すでに約1000兆円あり、さらに急増中です。
名目GDPが急成長して、税収が増えるという見通しもありませんから、
このままでいけば、そう遠くない将来に国債を国内で消化できなくなります。
そうなれば、国債は暴落し、財政が破綻することは必至でしょう。

昨年話題になった本、「国家は破綻する」によれば、国内債務による
公的債務危機の場合には、インフレーションにより債務が帳消しにされる
可能性がかなりあります。
このまま毎年の財政赤字を放置しておけば、財政が破綻するだけでなく、
ハイパー・インフレーションが起きるということになりそうです。

結局、国民は、①大増税、②増税+予算の大部分を占める福祉の大幅カット、
③ハイパー・インフレーションのうちのどれかを選ばざるを得ないのだと思います。
ところが、大増税を主張している政治家はどこにもいません。また、
増税を主張している政治家も福祉のカットは主張していないようです。

不気味なのは、減税すれば景気が良くなって自然に税収が増えると主張する
政治家がいて、3%程度の緩やかなインフレを起こして景気を良くしろと
主張するエコノミストがいることです。
過去20年間名目GDPが増えていないことを考えると、自然に税収が増えるとの
主張が、本気の主張であるとは思えません。
また、マネーサプライを少々増やしてもインフレは起きません。
極端にマネーサプライを増やせば貨幣の信用が低下して、インフレが起きそうですが、
そのインフレは雪崩や地震のようなもので制御不能なものとなることは
容易に想像できます。
3%程度のインフレを人工的に起こせと主張しているエコノミストもどこまで
本気で言っているのか疑わしいということになります。

実は政治家たちは、ハイパー・インフレが起きてもしかたないと考えているか、
むしろハイパー・インフレが起きたほうがいいと考えているのではないでしょうか。
ハイパー・インフレが起きて、政府や企業の債務が消滅すれば日本は再生すると
腹の中では思っているのかもしれません。


国家は破綻する――金融危機の800年

キンドル

アマゾンが米国で発売している電子書籍端末「キンドル」が、
日本でも4月に発売されるというニュースを読みました。
米国では、紙の本よりも2,3割安い値段で電子書籍が発売されています。
もし米国と同じように電子書籍を安く買えるようになるのであれば、
「キンドル」をすぐに買います。
でも、再販制度で本の価格をコントロールしている日本では、
電子書籍も紙の本と同じ値段になるんだろうな。。。。

グレッグ・イーガン「プランク・ダイヴ」

「SFが読みたい!2012年版」が選ぶベストSF2011[海外篇]第1位という
帯のあおり文句につられて、読んでみました。
ブラック・ホール、パラレル・ワールド、人工生命、クローン等、科学における
アイデアをふんだんに盛り込んだ短編集です。
クローンをテーマにした「エキストラ」は、法的な観点からも興味深い話でした。
クローンと脳を交換した場合、法的権利はどうなるんでしょう?


プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)

三木義一「よくわかる法人税法入門」

三木教授の「税理士春香」シリーズ最新刊です。
このシリーズは、過去すべて読んできているので、今回も買ってきました。
あいかわらず、税法における制度の趣旨をわかりやすく解説してくれています。
風呂に入りながら、ざっと目を通して、法人税法の基本を思い出すとともに
最近の法改正の内容を把握することができました。
私のように税務を専門としていないが、税法の観点からはどのようなことが
問題となるのかという視点だけは把握しておきたい人間にとってはお勧めできる本です。



よくわかる法人税法入門 (有斐閣選書)
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本ブログをご覧いただき、ありがとうございました。

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