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社外取締役選任義務付けに関する議論

会社法制の見直しの議論が行われる中で社外取締役選任の
義務付けが議論され、経済産業省の研究会においても
社外役員が議論のテーマとなるなど、社外取締役のあり方が、
ホットな話題となっております。

旬刊商事法務の最新号(No.1965)に関連する論文が
いくつか載っていました。
それらを読んだ感想です。

まず、落合誠一教授の論文ですが、社外取締役の選任を
義務付けるべきとする根拠が、次のとおり、明快に書かれています。

①取締役会の基本的役割は経営者の監督であるとする考え方が
世界の事実上の標準となっている。
②経営者の監督を基本的役割とする取締役会を実現するためには、
取締役が経営者から独立していなければならない。
③経営者から独立していると言えるためには、重要な取引先であってはいけない。
また、業務執行はしない者でなければならない。
④経営者を監督するためには、経営者を解任できなければならず、独立性のある
取締役が過半数を占めなければならない。

非常に明快ですが、この考え方を実現しようとすると、会社制度の
抜本的改革となります。
その場合、監査役制度との整合性が問題となりそうです。
そう考えると、法制審議会会社法制部会の中間試案の問題点も見えてきます。
中間試案は全体としての会社制度を選択するような形では
示されていません。個別の項目に関する改正案を単にまとめた内容と
なっています。
本来は、全体として公正で効率的な組織となるように制度を設計すべきでしょう。
しかし、中間試案のようなアプローチでは、全体としてすっきりした制度に
なるよう改正することはあまり期待できそうにありません。

次に、座談会の方ですが、大和住銀投信投資顧問の蔵本運用企画部長の発言が
興味深かったです。
以下、同氏の発言の一部を引用します。

「日本の上場企業に対して、内外の投資家が一番不満に思っているのは、
とにもかくにも経営成果です。ROE、一株当たりの利益も、過去15年~20年で
みてもほとんど増えていないという点に最大の不満があります。」

「剰余金処分権限を株主総会から取締役会に授権する定款変更をする事例が
一時期はやりました。この場合には、当社では、独立社外取締役が
選任されていない企業への授権は基本的に反対しました。配当政策は
ファイナンス的にいえば資本政策の裏返しです。ですから、最適な資本政策を
株主の観点から考えて自分たちで決めてくれるのならいいですけれども、
そのような観点が入らないまま「取締役会が決めるから任せてね」と
いわれても、それは「お任せします」とはいい難い」

「投資家からみた不満ということで申し上げると、先ほども少し申し上げましたが、
不祥事が海外に比べて多い点を問題視しているわけではなくて、業績や
資本政策があまりに株主にとってフレンドリーではないという点に不満が
あるわけですから、この問題に答える権限を持つ人はやはり法的には
取締役しかいないだろうと。たとえば、こういうタイミングでこのような
増資スキームでやると、株主共同の利益を損なうからやめたほうがいいのでは
ないのかというのは、厳密にいえばやはり妥当性監査の部分なので、
そのようなことに対する問題提起をするという意味では、取締役権限を
持った人を選んでいただいたほうがすっきりするのではないかなという気がします。」

「(外国人株主の持ち株比率が高く社外取締役を選任している)以外の企業で
経済的なパフォーマンスも高原状態に入っているような企業に、実は
お金、内部留保というのはたまりやすい傾向にあるのではないかと思います。
新しい事業投資は要らないのに安定したキャッシュ・カウ事業があるので。
そういう会社からいかに、人と物とお金を、成長企業に回る仕組みをつくるのか
という意味では、ある大学の先生が仰っているのですが、自発的に動く
200社~300社にとっては迷惑な話だけれども、残り千何百社に刺激を
与えるという意味では、義務化は社会全体でみるとプラスの効用となる、
そういう見方もあり得ると思います。」

社外取締役の選任を義務付けることの現実的必要性が明確に示されています。
ただ、社外取締役と株主還元に関しては、林順一「株主還元と社外取締役の
関係分析に関する一考察」
のように、社外取締役がいる方が、株主に対する
還元が減少する傾向があるとの研究も存在します。
ですから、社外取締役の選任を義務付けることによって、株主還元という
目的が達成できるかどうかはわかりません。
このあたりが、制度問題の難しさだと思います。
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