週刊ダイヤモンド2012年2月11日号

父が医師であることもあって、少し興味がある医師の世界、
週刊ダイヤモンドが特集を組んでいたので、読んでみました。
私が注目したのは、①56ページの医療訴訟の記事と
②64ページの医学部難度上昇の記事です。

まず、医療訴訟の原告勝訴率が、2000年の46.9%を
ピークに2010年の20.2%まで右肩下がりで低下しているという
実態に驚きました。
母数となる新受件数は増えていないため、原告勝訴判決の
絶対数が減少しているということになります。

判例タイムズ等の雑誌に掲載された判決を見ての印象に
すぎませんが、たしかに一時期、あまりにも高度な基準を設定して
過失を認めたり、どう見ても医師の行為と結果との間に因果関係が
ない事件について、説明義務違反を安易に認めて原告の請求の一部を
認める判決が横行していた記憶があります。
その傾向が是正されたのだとしたら、良いことだと思います。

ただ、一方で、では原告(患者側)が勝てなくなったのかというと、
そうでもないのではないかと考えています。
医療訴訟の先例が増え、判決の予想がつきやすくなったために、
明らかに医師に落ち度があるケースについては、訴訟に至る前に
和解で決着がつくケースが増えているように思うからです。
ですから、訴訟になった事件は、医師に落ち度があるかどうか判断が
評価する人により分かれる微妙なケースが多いのだと思います。
そういうケースですら原告が約2割勝っているのだとすると、けして
原告が勝てなくなったわけではないということなります。

次に医学部の難化です。
仕事上、様々な組織の内情を伺う機会があります。
待遇の低さに驚く場合もあれば、こんなに給料をもらっているのかと驚く場合も
あります。
私の経験上、やはり医師の待遇は、少なくとも金銭面では恵まれています。
銀行、マスコミ、会計士といったエリートと目されていた業界の待遇ですら
下がっている中、医師の待遇のみが昔のままという印象です。
ですから、医師という職業が相対的に人気になり、医学部が難化するのも
当然だと思います。
ただ、一方で、残念な気持ちもあります。

九州大学の中山敬一教授が次のリンク先で書いているとおり、
http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/qanda.html
臨床医は、クリエイターとルーティン・ワーカーのどちらかと言えば、
ルーティン・ワーカーです。
日本の宝とも言うべき、秀才たちがこぞって医学部に入学し、その大半が
臨床医になるというのは、国家的損失であるようにも思えます。
研究者が経済的にも成功する事例がもっとあれば、ここまで医学部が
人気になることはなかったのではないかと考えると、残念な気持ちも
わいてくるのです。


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