企業再編と過払金返還債務

企業再編がなされた場合に過払金返還債務がどう扱われるかに
関する最新の判例です。

平成24年6月29日最高裁判所第二小法廷判決
【判決要旨】
貸金業者Yの完全子会社Aが、Yの子会社再編を目的とする
債権譲渡基本契約に基づき、Aの顧客Xとの間の継続的な
金銭消費貸借取引に係る債権をYに譲渡したからといって、
YがAのXに対する過払金返還債務を承継したとはいえない。

上記問題に関しては、すでに下記の二つの最高裁判例が存在しました。
②は消費者金融子会社の再編の事例に関する判決です。
ただ、②の事例では、契約切り替えの手法が用いられていました。
そこで、②の事例と同様に消費者金融子会社の再編の事例であり、
かつ、①の事例と同様に債権譲渡がなされた事案について、
最高裁はどのように判断するのかが、注目されていたようです
(判例タイムズ1357号78頁)。

本判決は、②の判決と同じく第二小法廷のものですが、
子会社再編であっても、債権譲渡の事案であれば、①と同様に
判断するとされたことになります。

             記

①平成23年3月22日最高裁判所第三小法廷判決
【判決要旨】
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する
旨の合意をした場合において、上記債権を譲渡した業者の有する
資産のうち何が譲渡の対象であるかは、上記合意の内容いかんにより、
それが営業譲渡の性質を有するときであっても、借主との間の
金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に
当然に移転すると解することはできない。

②平成23年9月30日最高裁判所第二小法廷判決
【判決要旨】
貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが、
金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結し、この際、Xが,
Aとの継続的な金銭消費貸借取引における約定利息を前提とする
残債務相当額をYから借り入れ、これをAに弁済して
Aとの取引を終了させた場合において、次の(1)~(3)など
判示の事情の下では、XとYとは、上記基本契約の締結に当たり、
Yが、Xとの関係において、Aとの取引に係る債権を
承継するにとどまらず、債務についても全て引き受ける旨を
合意したと解するのが相当である。

(1) Yは,国内の消費者金融子会社の再編を目的として、
Aの貸金業を廃止し、これをYに移行、集約するために、
Aとの間で業務提携契約を締結し、同契約において、
Aが顧客に対して負担する過払金債務等一切の債務を
Yが併存的に引き受けることや、Aと顧客との間の
債権債務に関する紛争について、Yが、単にその申出窓口に
なるにとどまらず、その処理についても引き受けることとし、
その旨を周知することを、それぞれ定めた。
(2) Yは、上記業務提携契約を前提として、Xに対し、
上記基本契約を締結するのはYのグループ会社再編に
伴うものであることや、Aとの取引に係る紛争等の窓口が
今後Yになることなどが記載された書面を示して、
Yとの間で上記基本契約を締結することを勧誘した。
(3) Xは、Yの上記勧誘に応じ、上記書面に署名してYに差し入れた。
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