デリバティブ取引とレバ刺

旬刊商事法務の最新号において、志谷匡史教授がデリバティブ取引に関する
最近の裁判例を紹介しています。

志谷教授によれば、最近の裁判例も、適合性原則、説明義務の問題とした上で、
過失相殺による調整を図っている点では、従来と変わりありません。
しかし、裁判所の姿勢が、投資家の損失補填を例外的なものと捉えるのではなく、
投資家の損失を勧誘販売業者に負担させることが必要であるとするものに
変わってきている点で変化が見られるとしています。

志谷教授は、上記変化について、リスクの大きいデリバティブ取引が
一般投資家のレベルまで普及している状況下ではやむを得ないとしつつ、
投資家保護というよりも、むしろ消費者保護の色彩が強くなってきていることを
懸念しています。

消費者保護の色彩が強くなることの何が問題なのでしょうか。
消費者保護は取引の自由を奪います。
レバ刺のことを思い出してください。
食品衛生法が改正されて、牛のレバーを生食用として販売・提供することが
禁止され、焼き肉屋で牛のレバ刺を食べることができなくなってしまいました。
同じように、デリバティブ取引について消費者保護の色彩が強くなっていくと、
デリバティブ取引をしたくてもできないということになってしまいます。
そのことが問題なのです。

また、志谷教授は、次のとおり、さらなる問題提起もしています。

「2008年以降大きな問題となったサブプライム・ローンを組み込んだ
仕組み投資商品について、その商品内容の複雑性を理由に、
もはやディスクロージャーによる投資家保護策は有効に機能しないのでは
ないかという疑問が表明されるに至っている。説明を尽くそうにも、
そもそも理解し難い商品性であるというのであれば、説明義務による
保護は論じる意味がなくなってしまう。そのような商品に適合的な
投資家など存在するのか。伝統的思考が揺さぶられている。」

適合性原則、説明義務という従来の枠組みを維持した場合、
複雑な仕組み投資商品については、その販売がすべて
違法なものになってしまいかねないということでしょう。
将来、複雑な仕組み投資商品に関して、業者に厳しい判決が言い渡され、
業界に衝撃を与える可能性があるということになります。
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