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横浜地方裁判所平成24年7月17日判決

武富士から金を借りたことのある人たちが、同社の元社長に対し、損害賠償を求めた
訴訟の話題です。

いわゆる消費者金融に対する過払金返還請求訴訟がここ10年ほど
多発しています。
ただ、武富士については、同社が倒産してしまったために
過払金の一部しか回収できなくなってしまいました。
その一方で、武富士の元経営者一族にはかなりの財産が残っています。
その財産から債権を回収する試みの一つとして、元借り手の一部が
損害賠償請求訴訟を横浜地裁に提起しました。
一般的に元経営者の責任を問うことは、そう簡単なことではありません。
ところが、横浜地裁は請求の一部を認める判決を平成24年7月17日に
言い渡しました。
横浜地裁がどのような理屈で元社長の責任を認めたのか、
不思議に思っていたところ、裁判所ウェブサイトに判決文が
アップロードされたので、さっそく読んでみました。

判決を読んでみると、最高裁平成21年9月4日判決(「平成21年判決」)
によって定立された規範をあてはめたという構造になっているようです。

平成21年判決の要部を以下に引用します。

「一般に、貸金業者が、借主に対し貸金の支払を請求し、
借主から弁済を受ける行為それ自体は、当該貸金債権が存在しないと
事後的に判断されたことや、長期間にわたり制限超過部分を含む
弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって
直ちに不法行為を構成するということはできず、これが不法行為を
構成するのは、上記請求ないし受領が暴行、脅迫等を伴うものであったり、
貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを
知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに、
あえてその請求をした
りしたなど、その行為の態様が社会通念に
照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解される。
この理は、当該貸金業者が過払金の受領につき、民法704条所定の
悪意の受益者であると推定される場合においても異なることはない。」

読んでわかるとおり、不法行為が認められる場合は、かなり制限的に
考えられています。そして、平成21年判決の結論は不法行為の成立を
否定するものとなっています。しかし、横浜地裁は、平成21年判決は
みなし弁済に関する最高裁平成18年1月13日判決(「平成18年判決」)が
出る前の貸金の請求に関する事案に対するものであり、本件とは事案を異に
するから、平成21年判決によって、本件においても直ちに不法行為が
成立しないということはできないとします。

そして、「武富士の有価証券報告書の記載からすると、武富士は、
平成18年判決により、多数存在する顧客の取引のほぼすべてについて、
みなし弁済が成立する余地がほぼなくなったことを十分に認識していた」
と認定した上で、横浜地裁は次のとおり判断しています。

①被告は、遅くとも平成18年6月30日の時点では、武富士の
多数の顧客に対する貸金の残高が約定利率による残高とは大きく
異なっている可能性が高いことを十分に認識していた。
②そうすると、武富士の代表取締役であった被告においては、
顧客に対する貸金の残高がいくらであるかどうかについて
確認することが求められていたといえる。同残高は、引直計算を
すれば判明する。
③弁済充当に関する平成19年6月7日の最高裁判決
(「平成19年判決」)以降は、引直計算をすることは十分可能であり、
4カ月あれば引直計算を行うことができた。
④これらのことからすると、武富士及び被告は、平成19年6月7日の
4カ月後である平成19年10月7日の時点以降は、引直計算をして、
貸金債権の存否を確認することが十分可能であり、それをすべき
であったにもかかわらず、それをせずに、貸金の請求をし、弁済を
受けていたから、その時点で貸金債権が存在しない顧客については、
通常の貸金業者であれば貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くもの
であることを容易に知り得たにもかかわらず、あえて顧客に対して
貸金の返還を請求し、弁済を受領し
ていたと認められる。
⑤したがって、被告において、武富士が平成19年10月7日以降に
貸金債権が存在しない顧客に対して貸金の返還を請求し弁済を受領した行為は、
不法行為を構成すると認められる。

太字部分に着目していただければ、平成21年判決の規範を
あてはめた上で、同判決とは異なる結論を導き出していることが
お分かりいただけると思います。

なお、当然のことながら、被告である元社長側は、判決を不服として、
控訴を提起しています。
東京高裁はどのように判断するのでしょうか。
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