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債務整理開始通知の意味

平成24年10月19日第二小法廷判決の話題です。

破産者が破産手続開始の申立て前にした債務の弁済について、
破産管財人が否認権を行使して、弁済を受けた債権者に対して、
弁済金相当額の支払いを求めました。

争点は、破産者の代理人である弁護士が債権者一般に対して
下記のような内容の債務整理開始通知(「本件通知」)を送付した行為が、
「支払の停止」に当るか否かです。
「支払の停止」に当れば、破産管財人は否認権を行使できるからです。

                  記
「当職らは、この度、後記債務者から依頼を受け、同人の債務整理の
任に当ることになりました。(中略)今後、債務者や家族、保証人への
連絡や取立行為は中止願います。」


最高裁は次の判例を前提として、「支払の停止」に当ると判断しました。

「破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」とは、
債務者が支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払を
することができないと考えて、その旨を明示的又は黙示的に外部に
表示する行為をいうものと解される。」(最高裁昭和60年2月14日
第一小法廷判決)

以下、引用します。

「これを本件についてみると,本件通知には,債務者であるAが,自らの債務の支
払の猶予又は減免等についての事務である債務整理を,法律事務の専門家である弁
護士らに委任した旨の記載がされており,また,Aの代理人である当該弁護士ら
が,債権者一般に宛てて債務者等への連絡及び取立て行為の中止を求めるなどAの
債務につき統一的かつ公平な弁済を図ろうとしている旨をうかがわせる記載がされ
ていたというのである。そして,Aが単なる給与所得者であり広く事業を営む者で
はないという本件の事情を考慮すると,上記各記載のある本件通知には,Aが自己
破産を予定している旨が明示されていなくても,Aが支払能力を欠くために一般的
かつ継続的に債務の支払をすることができないことが,少なくとも黙示的に外部に
表示されているとみるのが相当である。
そうすると,Aの代理人である本件弁護士らが債権者一般に対して本件通知を送
付した行為は,破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」に当たる
というべきである。」

なお、須藤正彦裁判官が概ね次のような補足意見を付しています。

・上記法廷意見は、消費者金融業者等に対して多額の債務を負担している個人や
極めて小規模な企業については良く当てはまる。
・しかし、一定規模以上の企業、特に、多額の債務を負い経営難に陥ったが、
有用な経営資源があるなどの理由により、債権計画が策定され窮境の解消が
図られるような債務整理の場合において、金融機関等に「一時停止」の通知等が
されたりするときは、「支払の停止」の肯定には慎重さが要求される。
・たやすく「支払の停止」が認められると、運転資金等の追加融資をした後に
随時弁済を受けたことが否定されるおそれがあることになり、追加融資も差し控えられ、
結局再建の途が閉ざされることにもなりかねないからである。
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