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市民感覚と先例

裁判員制度が始まってからこれまでの間、裁判員裁判で21件の死刑判決が言い渡されました。ところが、そのうちの何件かについては、高裁段階において、死刑判決が破棄されています。
この件につき、本日の日経新聞は次のとおり述べ、具体的事件に接したナマの市民の判断と先例を重視するプロの裁判官の判断との間にズレが生じていることを示唆しています。

「最高裁は「控訴審は裁判員裁判の判断をできるだけ尊重すべきだ」との立場を原則としている。ただ死刑判断では動機や結果の重大性などの9項目を総合的に考慮する「永山基準」が長年用いられてきており、「過去の量刑判断を尊重すべきだ」とする研究報告を12年7月に示している。」

この「研究報告」とは、「裁判員裁判における量刑評議の在り方について」(司法研修所編(司法研究報告書第63輯第3号))のことだと思われますが、この報告書の「はしがき」は次のとおり述べています。

「裁判員裁判においては、死刑求刑事件も扱われることになるが、死刑の特殊性等にかんがみ、死刑求刑事件への対応についても検討を行う必要があると考えた。
死刑制度については、人によって考え方にかなりの開きがあると考えられることから、本研究報告では、死刑制度に関する裁判員の問題意識等に対してきちんと説明できるような知識、情報を整理することを試みた。また、死刑求刑事件の量刑判断に当たって、どのような事情があれば無期懲役刑から死刑へという、いわば刑の質的な転換がもたらされるのかは困難な問題であるが、裁判員にとって、自分が担当している事件がどれほど重大であるかという評価は、死刑にすべきかどうかが問題となった過去の重大な事件と比較することによって初めて可能になるのではないかと思われる。そこで、本研究報告では、いわゆる永山判決などで指摘されている要素が、具体的な事件でどのように評価されているかということを中心に過去の判決を検討し、死刑求刑事件において、死刑とそれ以外の刑との判断の相違がどこから生じてきたのかについて考察することも試みている。
もとより、先例は絶対的なものではないし、また、判決文だけをベースに検討しているので、実際の各量刑要素の位置づけ、重みを正確に把握できたとは限らない。このような制約の下での分析であることもご理解いただきたい。」

報告書を文字どおり読む限り、「過去の量刑判断を尊重すべきだ」とまでは最高裁は言っていないように思えます。
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