奥平康弘×木村草太「未完の憲法」

「ある若手の憲法学者と立憲主義について話をしていたときに、「立憲主義」というのはエリート主義だから、エリート主義であることを気づかれないように語らなくてはならない」ということをポロっと口にしたんですね。」(本書22頁)

その学者は、なぜ「立憲主義」をエリート主義と表現したのでしょうか。
ウィキペディアでは、「立憲主義とは、政府の統治を憲法に基づき行う原理で、政府の権威や合法性が憲法の制限下に置かれていることに依拠するという考え方」と説明していますが、この説明だけでは分かりません。

なぜなのかは「日本国憲法」という法典の条文を解釈して、憲法が何であるかを判断するのは誰なのかを考えてみれば分かります。
建前論はともかく、実際にその役割を担ってきたのは、官僚中の官僚である77人の内閣法制局職員であり、15人の最高裁判所裁判官であり、その人たちに理論を提供する一握りの有力憲法学者です。
この少数のエリートたちが、憲法の名の下、民主的基盤を持つ政治権力を限界づけてきたわけです。
だからこそ冒頭の言葉が口にされたのだと思います。

しかも、その真実を隠すべきだとその憲法学者は言っているわけで、憲法学にはこういう密教的体質があるというのが、冒頭のエピソードです。そこまで書いてくれているので、憲法学者が隠している「秘密の教え」を本書において明かしてくれるのではないかと期待して最後まで読んでみました。まあ、当然明かしてはくれなかったわけですが。

未完の憲法未完の憲法
(2014/04/05)
奥平 康弘、木村 草太 他

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