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妊娠中の軽易業務への転換を契機とした降格と本人の同意

最高裁判所平成26年10月23日第1小法廷判決を取り上げます。

事案の経緯の概要は次のようなものです。
① 平成19年7月1日、XがYの運営する訪問介護施設の副主任となった。
② 平成20年2月、Xは第2子を妊娠し、軽易な業務への転換を請求して、転換後の業務として病院リハビリ業務を希望した。
③ 同年3月、YはXをリハビリ科に異動させた。
④ 同月中旬頃、Yは、Xに対し、手続上の過誤により異動の際に副主任を免ずる旨の辞令を発することを失念していたと説明した。Xは副主任を免じられることについて、渋々ながらも了解した。
⑤ 同年4月2日、YはXに対し同年3月1日付でリハビリに異動させるとともに副主任を免ずる旨の辞令を発した。

この事案につき、最高裁は、男女雇用機会均等法9条3項は強行法規であり、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業又は軽易業務への転換等を理由として解雇その他不利益な取り扱いをすることは、違法であり、無効であるとしつつ、次のとおり述べています。

「一般に降格は労働者に不利な影響をもたらす処遇であるところ、上記のような均等法1条及び2条の規定する同法の目的及び基本的理念やこれらに基づいて同法9条3項の規制が設けられた趣旨及び目的に照らせば、女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として同項の禁止する取扱いに当たるものと解されるが、当該労働者が軽易業務への転換及び上記措置により受ける有利な影響並びに上記措置により受ける不利な影響の内容や程度、上記措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯や当該労働者の意向等に照らして、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、その業務上の必要性の内容や程度及び上記の有利又は不利な影響の内容や程度に照らして、上記措置につき同項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらないものと解するのが相当である。」

つまり、女性労働者につき、妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させることは、原則違法・無効であって、次のいずれかに当たる場合のみ、違法・無効とはならないということになります。
①降格させられた労働者につき、自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が存在するとき
②降格につき男女雇用機会均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するとき

その上で、最高裁は、本件においては、Xにつき上記①の自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するということはできないとしつつ、上記②の特段の事情の存否についてさらに審理を尽くさせるために原判決を破棄して、審理を広島高等裁判所に差し戻しました。

妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させることにつき、単に本人の同意を得ていたというだけでは、違法・無効との評価を免れることはできないということになります。

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