電力会社による再生可能エネルギー「接続保留」の法的根拠

九州電力等が、再生可能エネルギーの系統連系申込みに対して回答を保留したことが話題になっています。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(「再生エネ特別措置法」)5条は、電気事業者(電力会社のことです。)に対し、原則として、接続の請求に応ずる義務を課しているからです。

ところで、この点に関して、高村ゆかり教授が、「現行法のどの規定が電力会社の「接続保留」を認めているのかという法的問題もある。」と日本経済新聞のコラム「経済教室」において、述べています。これを読み、電力会社の行為には法的根拠がないのかと疑問に思い再生エネ特別措置法の条文を確認してみました。

この点、たしかに保留そのものを明記した条文は見つかりませんでした。ただ、再生エネ特別措置法5条1項2号は、「電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。」を上記原則に対する例外として認めています。この場合には、電力会社は接続の請求に応ずる義務を負いませんから、当然、保留も許されると解される余地がありそうです。

九州電力のウェブサイトでは、保留の理由について、「これらの全てが発電すると、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れ、電力を安定してお届けすることが困難となる見通しです。」と説明しています。「電力を安定してお届けすることが困難となる」という表現を使っていることから見て、九州電力は、この条文が適用されると考えているのだと推測されます。

もっとも、再生エネ特別措置法5条1項3号、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」(「施行規則」)6条5号、6号は送電容量を超えること、受け入れ可能な電気の量を超えることを接続拒否の理由とする場合には、その裏付けとなる合理的な根拠を示す書面を示すことを求めています。

九州電力が保留の理由とする「昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れ」るという具体的事情は、むしろこちらに該当するようにも思えます。適用される条文がこちらであれば、前述のとおり、裏付けとなる合理的な根拠を示す書面を示さなければ電力会社は接続を拒否できません。保留する場合にも当該書面を示すことが求められることになりそうです。

高村ゆかり教授は、前述の記載に続けて、「判断の妥当性を示すデータの開示や中立の第三者による評価もないまま、電力会社の独自の判断による接続保留を認めればFITの根幹を揺るがすのみならず、政策への信頼を失わせ今後の再生エネ投資を委縮させてしまう。」と述べています。この記載からすると、前記「現行法のどの規定が電力会社の「接続保留」を認めているのかという法的問題もある。」という記載は、「接続保留」には法的根拠がないという趣旨ではなく、再生エネ特別措置法5条1項2号ではなく、同法5条1項3号並びに施行規則6条5号又は6号が適用条文であると考えられるべきだという趣旨であると考えた方がよさそうです。

つまり、「接続保留」において適用される条文は後者であるから、「接続保留」が合法であるためには、その裏付けとなる合理的な根拠を示す書面が示されていなければならず、電力会社は当該書面を示すべきだと主張されているということなのだと思います。
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