延滞税納付債務不存在確認等請求事件

平成26年12月12日に言い渡された最高裁判決の話題です。

相続人が、法定期限内に相続税の申告を行い、相続税を納付した後に相続税を払いすぎたとして、更正の請求をしました。
税務署長は、減額更正をして、還付金を支払いました。
ところが、その後相続人が、減額が不十分だとして当該減額更正につき異議を申し立てたところ、税務署長は当該異議を棄却するだけでなく、上記減額更正において減額しすぎたとして、増額更正の決定を行ったのです。
そこで終わればまだ良かったのですが、税務署長は、相続税の当初の法定納期限の翌日である平成21年8月26日から、更正通知書において納付すべきとされた金額を相続人が納付した平成23年6月3日までの期間につき、延滞税の納付を催告してきました。
この延滞税の納付義務の存否が争われたのですが、最高裁は次のとおり、述べて当該義務の存在を否定しました。

「本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分については,それぞれ減額更正と過納金の還付という課税庁の処分等によって,納付を要しないものとされ,未納付の状態が作出されたのであるから,納税者としては,本件各増額更正がされる前においてこれにつき未納付の状態が発生し継続することを回避し得なかったものというべきである。」

「他方,所轄税務署長は,本件各更正請求に係る税務調査に基づき,本件相続土地の評価に誤りがあったことを理由に,上告人らの主張の一部を認めて本件各減額更正をしたにもかかわらず,本件各増額更正に当たっては,自らその処分の内容を覆し,再び本件各減額更正における本件相続土地の評価に誤りがあったことを理由に,税額を増加させる判断の変更をしたものである。」

「当初の減額更正における土地の評価の誤りを理由として税額を増額させる判断の変更をした課税庁の行為によって,当初から正しい土地の評価に基づく減額更正がされた場合と比べて税負担が増加するという回避し得ない不利益を被ることになるが,このような帰結は,法60条1項等において延滞税の発生につき納税者の帰責事由が必要とされていないことや,課税庁は更正を繰り返し行うことができることを勘案しても,明らかに課税上の衡平に反するものといわざるを得ない。」

「そして,延滞税は,納付の遅延に対する民事罰の性質を有し,期限内に申告及び納付をした者との間の負担の公平を図るとともに期限内の納付を促すことを目的とするものであるところ,上記の諸点に鑑みると,このような延滞税の趣旨及び目的に照らし,本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分について本件各増額更正によって改めて納付すべきものとされた本件各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税の発生は法において想定されていないものとみるのが相当である。」

「したがって,本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分は,本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間については,法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないというべきであるから,上記の部分について本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税は発生しないものと解するのが相当である。」
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