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エルピーダ倒産の遠因

金融法務事情2012号2月25日号において、金融庁・証券
取引等監視委員会事務局次長の大森泰人氏が、経産省幹部逮捕の
内幕を書いています。
2012年1月12日に逮捕された木村雅昭氏の話です。

2009年6月18日の夜、当時経産省商務情報政策局の審議官であった
木村氏は、八重洲富士屋ホテルの一室に集まった、エルピーダの
主力取引銀行、日本政策投資銀行の幹部ら20人を前にして、
次のように宣言したそうです。

「(投融資額)がまとまるまで、この部屋からは出られません。
まとまらなければ、エルピーダはつぶれます」

経産省が主力取引銀行と日本政策投資銀行を説得してエルピーダを
救済した場面です。

大森氏の解説を読んでみます。
「民間銀行の担当者の胸中には、乗っているのが泥船なら、
痛手がさらに拡大する前に降りなきゃとの思いもある。」
(それに対し)「経産省が、何が何でもエルピーダを救済すると
決めていれば、DBJ(日本政策投資銀行)は最初のうち抵抗する
ものの、やがては諦め経産省とともに民間銀行を巻き込む側に立つ。」
経産省(木村氏)が、何が何でもエルピーダを救済すると主張したので、
日本政策投資銀行がそれに従い、経産省と日本政策投資銀行に
引き摺られて、主力取引銀行も融資を決めることになったということです。

ところが、その2009年6月に木村氏は経産省の庁舎の中で、
エルピーダの株式の売買取引を行っていました。
しかも、2009年6月18日までエルピーダ株を買い増し、
その後の株価上昇局面でタイミング良く売っていたというのです。
そのことが発覚し、木村氏は2012年1月12日に逮捕されました。

さて、復習ですが、今回、主力取引銀行と日本政策投資銀行の姿勢は
次のようなものだったと報道されています。

主力取引銀行:日本政策投資銀行が支援を継続するなら借り換えに応じる。
日本政策投資銀行:マイクロンと資本・業務提携できなければ3月末以降は支援しない。

そして、マイクロンとの提携が破談になったためにエルピーダは倒産した
わけです。

ところで、改めて報道を振り返ってみると、経産省の影が薄いことに気づかされます。
大森氏の解説からすると、経産省が強力に日本政策投資銀行に対してエルピーダ救済を
求めたとしたら、エルピーダの借り換えは実現できた可能性があることになります。
しかし、経産省はそうしなかった。
木村氏の件で負い目があり、そうできなかったのでしょう。

一旦はエルピーダを救ったとされた木村氏が、エルピーダを倒産に追いやった。
そう言えなくもなさそうです。

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