5.5兆円の訴訟

報道によれば、今月5日、東京電力の株主42人が、
東京電力の歴代の役員27人に対し、訴えを起こしたそうです。
同役員らに対して、東京電力に約5.5兆円を
支払うことを求める訴訟です。
国内の民事訴訟としては、過去最高額の請求だそうです。

通常の訴訟で5.5兆円の支払いを求めますと、印紙代が
55億円ほどかかります(計算合ってるかな?)。
ところが、5.5兆円を支払う能力がある個人って、
まずいませんよね。
訴訟に勝っても5.5兆円を回収することは不可能です。
それどころか55億円の印紙代を回収することも通常は難しいでしょう。
ですから、通常は、こんな訴えは起きません。
5.5兆円の請求権があると考えたとしても、一部請求という形にして、
請求金額は、支払い可能と思われる金額+α程度に抑えます。

では、なぜ今回このような訴訟が起きたのかと言えば、
今回の訴訟が株主代表訴訟だからです。
株主代表訴訟の場合には、会社法847条6項の規定に基づき、
印紙代が1万3000円で済むのです。

今回の件、我々庶民からすると、面白い。
ですが、上場会社の経営者は、違った感想を抱くかもしれません。
経営者は、株主代表訴訟の被告になる潜在的可能性がある人たちです。
彼ら、彼女らは、株主代表訴訟制度がオカシイから、
こんなアリエナイ訴訟が起きたんだと考えるかもしれません。

ところで、昨年末に「会社法制の見直しに関する中間試案」が
法制審議会会社法制部会から発表されました。
その中には、株主権を強化する方向での株主代表訴訟制度の改正案も
含まれています。
原告となった株主及び代理人たちの善意を疑うわけではありませんが、
今回の件が財界の株主代表訴訟制度に対する潜在的不満を刺激し、
会社法改正に悪影響を及ぼさなければ良いのですがと思わざるを得ません。
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