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ステルス・マーケティングにご用心

ステルス・マーケティングという言葉をご存知ですか?
消費者に宣伝と気づかれないようにして宣伝することです。
ネット上では、「ステマ」という略称の方を良く目にします。
例えば、食べログのような口コミサイトに評価対象となっている業者自身が
高評価レビュー記事を匿名で書きこんだり、影響力のあるブロガーに自社商品・サービスを
推奨する記事をブログに書いてもらうことなんかが、ステマの代表例でしょう。
友里征耶「グルメの真実」によれば、料理評論家の一部は、
飲食店からタダで料理を提供してもらっているそうです。
こういうのもステマに当たりそうです。

いまさらなぜステマの話題なのかと言えば、ビジネス法務5月号に
「ステルス・マーケティングの米国法規制」という記事が掲載されていたからです。
その記事によると、米国では、ステルス・マーケティングは、
Federal Trade Commission Actによって規制されているそうです。
記事で紹介されているガイドラインの一部を引用します。

§ 255.5 Disclosure of material connections.
When there exists a connection between the endorser and the seller
of the advertised product that might materially affect the weight
or credibility of the endorsement (i.e., the connection is not
reasonably expected by the audience), such connection must be fully
disclosed.
For example, when an endorser who appears in a television commercial
is neither represented in the advertisement as an expert nor
is known to a significant portion of the viewing public, then the
advertiser should clearly and conspicuously disclose either
the payment or promise of compensation prior to and in exchange for
the endorsement or the fact that the endorser knew or had reason
to know or to believe that if the endorsement favored the advertised
product some benefit, such as an appearance on television, would be
extended to the endorser.
Additional guidance, including guidance concerning endorsements
made through other media, is provided by the examples below.

Example 7: A college student who has earned a reputation as a video game expert
maintains a personal weblog or “blog” where he posts entries about his gaming
experiences. Readers of his blog frequently seek his opinions about video game hardware
and software. As it has done in the past, the manufacturer of a newly released video game
system sends the student a free copy of the system and asks him to write about it on his
blog. He tests the new gaming system and writes a favorable review. Because his review is
disseminated via a form of consumer-generated media in which his relationship to the
advertiser is not inherently obvious, readers are unlikely to know that he has received the
video game system free of charge in exchange for his review of the product, and given the
value of the video game system, this fact likely would materially affect the credibility they
attach to his endorsement. Accordingly, the blogger should clearly and conspicuously
disclose that he received the gaming system free of charge. The manufacturer should
advise him at the time it provides the gaming system that this connection should be
disclosed, and it should have procedures in place to try to monitor his postings for
compliance.

正確な紹介は、ビジネス法務5月号の記事に譲るとして、
要するに、ブロガーが報酬をもらって、商品を褒める記事をブログに
書いたりするような場合には、報酬(たとえばその商品をタダで
もらったこと等)をもらっていることを十分開示しておかなければ
ならないということですね。

では、日本ではステマは規制されているのでしょうか。
上記記事は、「昨年10月、消費者庁は、このような宣伝方法についても
景品表示法によって規制されうると発表した。」としています。
これを手掛かりに探してみます。
どうやら「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する
景品表示法上の問題点及び留意事項」
というのが、その発表に
当たりそうです。
「口コミサイト」という箇所が、ステマに関係するものですね。
その一部を引用します。

「ブログ等、個人(有名、無名を問わない。以下、ブログを運営する者を「ブロガー」と
いう。)が情報を提供するウェブサイトにおいても、ブロガーの「おすすめ商品」等に関
する情報提供が行われることがあり、こうしたブログなども口コミサイトの一つに数える
ことができる。
ブログについては、特に芸能人等有名人のブロガーによるブログにおいて、「おすすめ
商品」等に関する記事が掲載されることが多くなっている。
ブロガーにブログサービスを提供している事業者(以下「ブログ事業者」という。)の
一部には、商品・サービスの広告宣伝を依頼する事業者(以下「広告主」という。)に対
して、ブロガーによる記事執筆を手段とした商品・サービスのプロモーションサービスを
提供しているものがある。ここでは、ブログ事業者は、広告主との契約に基づき、ブロガー
に対して当該商品・サービスを提供し、ブロガーは提供された商品・サービスを使用した
感想等を含む紹介記事をブログに掲載する。それら紹介記事には、紹介された商品・サー
ビスを販売するインターネットサイトへのリンクが設けられていることが多い。」

消費者庁が問題点を把握していることが読みとれます。
続いて引用します。

「口コミサイトに掲載された口コミ情報は、インターネット上のサービスが一般に普及する
に従い、消費者が商品・サービスを選択する際に参考とする情報として影響力を増してきて
いると考えられる。
口コミサイトに掲載される情報は、一般的には、口コミの対象となる商品・サービスを現
に購入したり利用したりしている消費者や、当該商品・サービスの購入・利用を検討してい
る消費者によって書き込まれていると考えられる。これを前提とすれば、消費者は口コミ情
報の対象となる商品・サービスを自ら供給する者ではないので、消費者による口コミ情報は
景品表示法で定義される「表示」には該当せず、したがって、景品表示法上の問題が生じる
ことはない。
ただし、商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイト
に口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該
事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るも
のよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表
示法上の不当表示として問題となる。」

え?
そういう話?
消費者による口コミ情報は原則としては優良誤認表示に当たらないが、
事業者自身が表示をしたと同視できる事情があるときには、優良誤認表示に
当たる場合があるって、そんな当たり前の話で終わり?
ステルス・マーケティングが問題視されているのは、そこじゃないのでは?

営業トーク、オーバートークという言葉がある通り、営業活動、宣伝活動においては
多少の誇張表現があることは当り前のことです。
受け手側も承知の上で、あらかじめ割り引いた上で、売り文句を聞いたり、読んだりしますから、
通常は問題になりません。
景品表示法も、以下のとおり、「著しく」、「不当に」という言葉で優良誤認表示となる
場合を限定しています。

「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも
著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは
役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、
不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれが
あると認められるもの」

ところが、ステマの場合には、商品・サービスの提供者である事業者とは
利害関係のないように見える第三者(ブロガー)が、その商品・サービスを
推奨するわけです。
この場合には、消費者は話を割り引いて聞くという態度を取ることが難しくなり、
話を鵜呑みにしかねません。
「著しく」とは言えない程度の誇張であるために優良誤認表示には当たらない場合であったとしても、
後から実はそのブロガーが事業者から報酬を得ていたと聞けば、消費者は、
”騙された”と感じると思います。
そのことを知らなかったために、その商品・サービスについて、本来あるべき認識とは異なる認識を
持ってしまったと考えるであろうからです。

消費者庁も当然、そのような問題意識を持っているからこそ、ステマの問題を
取り上げたのでしょう。
なのに、なんでこんな結論になってしまったのでしょうか。
内部でどういう議論がなされたのか、聞いてみたいものです。


ところで、最近目にした例では、キヤノンが、ユーザーによるレポートを紹介しますという形で、
ブロガーを活用した宣伝活動を行っています。
この例の場合には、キヤノンからカメラを貸してもらった旨がブログ記事において
きちんと開示されています。
さすがグローバル企業といったところでしょうか。
しかし、他社の事例では、開示がなされていない例もあるはずです。
日本でもステマを規制すべきという声が出てきておかしくありません。
また、法規制がなくとも、ばれた場合には、社会的非難を浴びる虞があります。
口コミマーケティングを実施又は検討されている方は、少し気を付けておいた方が
良いのではないでしょうか。
もちろん、一消費者としても、ステマに引っかかることがないようにしたいですね。
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