ドイツの「失敗」にみる太陽光発電の難しさ

つい数年前のことですが、ドイツ政府の先進的な再生可能エネルギー政策によって、
Qセルズという会社が、太陽電池メーカーとして世界一になった、日本も見習え
といった主張を良く目にしました。
ところが、昨日、そのQセルズが倒産したというニュースを目にすることになりました。
聞いていた話とあまりにも違います。
そこで、ちょっと太陽光発電の事情について調べてみました。

すると、実は倒産したのはQセルズだけではないことがわかりました。
昨年12月には、ドイツの太陽電池モジュールメーカー「ソロン」と
太陽光発電プロジェクト開発業者の「ソーラーミレニアム」が倒産し、
今月2日には、アメリカのメガソーラー開発業者の「ソーラー・トラスト・オブ・アメリカ」も
ドイツの親会社の倒産の影響を受けて倒産しています。
日経新聞の報道によれば、昨年末以降、ドイツでの太陽電池メーカーの破綻は
5社目になるそうです。
それだけではありません。
倒産の直接の原因は、太陽電池の価格が急落したことですが、
サンテック(中国)、JAソーラー(中国)といったトップメーカーも
軒並み赤字だというのです。

なぜこんなことになったのでしょう。

太陽電池が、誰でも作れるコモディティ化し、激しい価格競争が起きたということも理由ですが、
ヨーロッパの政策の変更も理由となっているようです。
ドイツの例を見てみると、ドイツでは、2000年から電力の買取り制度を導入し、
再生可能エネルギーの普及に取り組んできました。
そのために投じられた補助金は総額10兆円を超えるそうです。
その結果、ドイツでは、太陽光発電の供給量が急速に増加しました。
昨年だけでも発電能力にして7.5ギガワット分増加したそうです。
補助金の原資は電力料金ですので、電力料金は上昇し、ドイツ人は先進国で
2番目に高い電力料金を支払うことになってしまいました。
しかし、そこまでしても、太陽光による発電量は、ドイツの全エネルギー消費分の0.3%でしかありません。
太陽光発電の費用対効果はあまりにも劣悪なのです。
そこで、買取り制度は、大幅な見直しを迫られることになりました。
買取り価格を引き下げたり、買取り量を制限することになったのです。
買取り制度の見直しを行ったのは、ドイツだけではありません。
フランス、イギリスやイタリアも見直しを行っています。

そのため、太陽光発電パネルの売上が急減し、価格が暴落したのが、太陽電池メーカーの
相次ぐ倒産の原因の一つだというのです。

要するに太陽光発電は補助金頼りの事業だったが、あまりにも大きくなりすぎ、
国民が太陽光発電事業を支えきれなくなったということでしょう。
そうすると、より根本的な原因は、太陽光発電が巨額の補助金に頼らないと継続不可能だ
と言う点にあることが見えてきます。

ところで、再生可能エネルギーの買取り制度が7月1日に施行されることを踏まえて、
発電事業者から、買取り価格の希望価格が示されました。
発電方法によって、希望価格は違い、次のとおりとなっています。

太陽光:       42円
風力:     22~25円
地熱:       25.8円
水力:         24円
木質バイオマス: 25.2円
可燃ゴミ:     16.5円

太陽光発電の希望価格が圧倒的に高いことがわかります。
これは何を意味するのでしょうか。
太陽光発電のコストがずば抜けて高い、効率が極めて低いということです。
ドイツがあれだけの金を投じても太陽光発電のコストはそれほど下がらなかったのですから、
これから急速に下がるということは考えにくいでしょう。

太陽光発電に夢があることは認めますが、ドイツの「失敗」を踏まえると、
太陽光発電の未来については慎重に考える必要がありそうです。


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