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切り餅事件判決を斜め読みしました

マスコミでも報道されて有名になった越後製菓(原告)vs佐藤食品工業(被告)の
切り餅に係る特許訴訟について、判決全文が裁判所のウェブサイトにアップロード
されましたので、中間判決と共に読んでみました。

中間判決: 知財高裁平成23年9月7日判決
終局判決: 知財高裁平成24年3月22日判決

いや、これ面白いですね。
私が興味をもったところだけ抜き出してみると、どうもこういうことらしいんです。
(知財の専門家たちはクレームの解釈の方に注目しているようですが、
ここでは触れません。)

原告は、自分が平成14年10月31日に出願した特許を被告が侵害したと訴えました。
その特許は、切り餅の側面に切れ込みを入れておくと餅が上手く焼けるというものでした。

被告は、その出願日前の平成14年10月21日ころには、切り餅の側面に切れ込みを
入れた商品を売っていたからその特許には新規性がなく無効であると主張しました。
そして、当時販売していたものと同じ「こんがりうまカット」という切り餅を公証人に見せて、
事実実験公正証書を作成してもらい、その公正証書を証拠として提出しました。

ところが、知財高裁は次の理由で、平成14年10月21日ころに被告が
売っていた「こんがりうまカット」の側面には切れ込みが入っていなかったと認定し、
特許は有効と中間判決において判断しました。

①イトーヨーカ堂のバイヤーが、平成14年当時に売られていた「こんがりうまカット」の
側面には切れ込みはなかったと証言している。
②平成14年当時に販売していた切り餅をいままで保存していたというのは不自然。
③被告が、平成15年7月17日に「上面、下面、及び側面に切り込みを入れたことを
特徴とする切り餅」について特許を出願していることからすると、平成14年10月21日に
側面に切り込みを入れた切り餅を売っていたということはありそうにない。
④被告が平成15年9月1日に発売した「パリッとスリット」という商品に関する
新聞記事を見ると、「こんがりうまカット」と比べたときの「パリッとスリット」の特徴として
切り餅の側面に2本の切り込みを入れたことが書いてある。

要するに、被告が公証人に見せた「こんがりうまカット」は偽物だったと
知財高裁が認定したということですよね?
これって、「逆転裁判」ですか?
いや、おもしろい。

上記のとおり、知財高裁は、特許は有効であり、被告は特許を侵害していると中間判決で
判断しました。
この中間判決が出たのが、平成24年9月7日でした。
侵害があるかないかについては、すでに勝負アリというわけで、
知財高裁は、損害論の主張立証をさせるのと並行して、和解を試みました。
ところが、被告が低額の和解金による和解案しか提示しなかったため、
和解は成立しませんでした。
どうやら被告は中間判決の判断に納得がいかなかったようで、
代理人を変えるとともに、先使用の抗弁、権利濫用の抗弁、公知技術の抗弁を主張し、
証拠を提出しようとしました(100を超える書証と証人尋問及び検証の申出)。
しかし、裁判所は実質的には従来の主張の繰り返しに過ぎないし、そんな膨大な証拠調べを
することは訴訟遅延になるとして、当該主張及び証拠提出を却下しました。

で、口頭弁論が終結され、平成24年3月22日言渡しの終局判決に至ったということになります。

中間判決の結論については、意外という受け止め方が多かったようです。
クレームの解釈についての専門家の意見(異論?)を多く見かけました。
また、被告のどうしても納得いかないという気持ちも伝わってきます。
ただ、真相は分かりませんが、上記の流れだけを見ると、今回の結論は、
当然のものだったように思われます。
判決主文を見ると、損害賠償と製造販売の禁止だけでなく、製造装置の廃棄まで
命じられてしまっており、知財訴訟の恐ろしさを改めて思い知らされます。

ところで、私個人の着目ポイントは、次の原告の主張とそれに対する裁判所の判断です。

主張:「被告による本件特許権侵害と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用
相当額は、8億4111万円を下らない。」

判断:「被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用としては、
7298万円と認めるのが相当である。」

うーむ(いろいろな意味で)
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