わかりにくい「日本再生投資基金」構想

民主党が企業再生やベンチャー企業を支援する「日本再生投資基金」の創設を提言したそうです。
そして、それを受けて政府が、企業再生支援機構を改組して、2~3兆円規模のファンドを
設立することを検討することになったと報道されています。
新聞記事等を読んでも、はっきりしないのですが、どうも地方銀行などに中小企業の
再生専門会社を設立してもらい、そこにファンドの資金を投入する計画のようです。

しかし、2~3兆円も集めて、投資するにふさわしい再生案件がそんなに見つかるのでしょうか?
もともと企業再生支援機構は、中小企業の再生を支援するために設立された機構です。
そして、そのために平成23年度予算では上限3兆円の政府保証枠を与えられています。
ところが、同機構が今までに投資した4000億円のうち3500億円は日本航空の再生に使われ、
中小企業の再生に対しては、ほとんど使われていません。

なぜでしょうか。
要するに投資するにふさわしい再生案件が、それしか見つからなかったのだと思われます。
企業再生支援機構は、純民間の業者と比較して、特別な能力を有しているわけではありません。
そして、同機構は、営利を目的とはしていないものの、市中から資金を調達して5年で業務を完了させる
計画であったことから、資金回収が見込めない案件に投資することはできない仕組みになっていました。
機構のウェブサイトを見ると次の要件すべてを満たす案件が、支援対象となるとされています。

①有用な経営資源を有していること。
②過大な債務を負っていること。
③申込みに当たり、以下のいずれかを満たすこと。
・主要債権者との連名による申込みであること。
・事業再生に必要な投融資等を受けられる見込みがある、若しくは、主要債権者から
事業再生計画への同意を得られる見込みがあること。
④3年以内に「生産性向上基準」及び「財務健全化基準」を満たすことが見込まれること。
⑤機構が債権買取り又は出資を行う場合、支援決定から3年以内に当該債権又は株式等の処分が
可能であること。
⑥機構が出資を行う場合、必要不可欠性、出資比率に応じたガバナンスの発揮、スポンサー等の
協調投資等の見込み、回収の見込み等を満たすこと。
⑦労働組合等と話し合いを行うこと。

中小企業の再生案件でこれらの要件がすべてが満たされているものは、数少ないと思われます。
また、これらの要件すべてが満たされるのであれば、どこかの民間業者がスポンサーとなって資金を
提供する可能性が高いと思われます。
再生の見込みの高い案件にしか投資しないのであれば、機構が出る幕はないということです。

その状況は、地方銀行などに中小企業の再生専門会社を設立してもらい、
そこに企業再生支援機構を改組して創設した「日本再生投資基金」の資金を投入することにしても
変わらないと考えられます。
もちろん、再生の見込みの低い案件であれば、多数存在するでしょう。
しかし、そういう案件に無理に投資すれば、新銀行東京の二の舞になってしまうはずです。
地方銀行がそのような自殺行為をするとは思えません。

儲かる事業であれば、放っておいても民間企業が投資します。
逆に儲かる見込みがないために民間企業が投資しない場合には、
巨額の資金を用意しても、金を借りに来る者はいないと思われます。
民主党も政府も私なんかよりもはるかに情報を持っているわけですから、
そのことは百も承知のはずです。
だとすると、この「日本再生投資基金」構想は、何を目的としたものなのでしょうか。
よく分かりません。
中小企業金融円滑化法を打ち切ったことによって、多数の中小企業が倒産したときに、
何かをしているポーズを取るだけのため?
まさかね。
何かいい知恵があるのでしょう。
たぶん。
きっと。
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