清水亮「最速の仕事術はプログラマーが知っている」

現代における仕事とは情報処理であり、複雑な情報処理を最速で終わらせる方法を知っているのはプログラマーであると前置きした上で、著者が自らの仕事術を開陳している本です。

この本の中で、著者は、プログラマーは仕事を「完遂する」ことを要求される職業だからビジネスリーダーに向いていると主張しています。
そして、対比のため、弁護士が次のとおりとりあげられています。

「筆者は職業柄様々な弁護士と接するが、弁護士ほど自分で頭を使っているつもりで、その実、ほとんど頭を使っていない職業はちょっとないのではないかと思う。ある裁判で、勝てるか、負けるかは裁判をする前にある程度は見えていることがほとんどなのだ。テレビドラマのように、絶体絶命の状況から弁護士が機転を効かせて逆転するようなことはほとんど起き得ない。」

しかし、そもそも「自分の頭」を使っているつもりでいる弁護士などというものにあまり出会ったことがありません。弁護士を含む専門家とは、先人や仲間が築き上げてきた専門的知識を習得し、操ることができるようになった人間であり、必ずしも「自分の頭」から湧き出てくる知恵を駆使する人間ではありません。それどころか、下手に「自分の頭」を使った意見を述べると、裁判所に「独自の見解」として頭ごなしに否定されてしまうことになりかねません。

ですから、「弁護士は自分の頭を使っているつもりでいる」というのは著者の偏見にすぎないと思います。ただ、そのような偏見が生まれる背景に弁護士は頭を使っている人たちであるという世間的イメージが存在するのだとすれば、それは嬉しいことだと思いました。


「ギリシア デフォルト宣言 ユーロ圏の危機と緊縮財政」

ギリシア問題には若干関心があったので、「ギリシアを破綻に追い込んだのは誰か。」という帯の惹句に釣られて、読んでみました。

ヨーロッパの経済危機は、①ドイツの賃金抑制政策と②EU、欧州中央銀行及びIMFが主導するEU加盟国の緊縮財政がもたらしたものだと主張する本でした。

②はスティグリッツ等の一部の経済学者が従前から主張している内容と同じだと思いますが、①はどうでしょう。共通通貨を用いて、一つの経済圏にしてしまえば当然に起きる賃金の平準化にすぎない気がするのですが。。。


高橋淳「進歩性規定法的判断の実務」

特許紛争で最も争われることが多い問題でありながら、
非知財系の法律家にとっては理解が難しい問題が「進歩性」の有無です。
そもそも、通常の特許法の概説書には、「進歩性」に関する詳細な説明は
書かれていないと思います。

本書は実際の裁判例に現れた図版を大量に示しつつ、
明快に「進歩性」の判断の枠組みを示してくれており、
特許法の概説書の巨大な穴を埋めてくれる本なのではないかと思いました。



「なぜ、トヨタは700万円で『ミライ』を売ることができたか?」

革新的技術と喧伝されていたクリーンディーゼルの化けの皮がはがされたと騒ぎになっています。

それとの対比で、何十年も先の未来の技術と思われていた燃料電池車の開発に
トヨタが成功したのはなぜなのかという疑問を抱いていたところ、書店で
この本のタイトルが目に入り、読んでみました。

一言で言うと、スーパーコンピューターが可能にしたナノレベルの
テクノロジーによって大幅なコストダウンが可能になったということのようです。



井上達夫「九条問題再説」

「法の理論」という成文堂が出版しているムックの33巻に掲載されている標記の論文を読んでみました。

集団的自衛権を巡る憲法論議が盛んなようですが、憲法9条がらみの憲法学者の議論というものは、(私から見て)難解(意味不明)な言葉が飛び交っているだけのことが多く、あまり興味を持てずにいました。

しかし、井上教授の論文は、私にも理解できる言葉で書かれています。井上教授は法哲学者なのですが、憲法を巡る議論において、法哲学者の言葉が分かりやすく、憲法学者たちの言葉が難解(意味不明)というのですから、奇妙な話です。


フリーエリア
プロフィール

大久保宏昭

Author:大久保宏昭
本ブログをご覧いただき、ありがとうございました。

リンク
カウンター
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR